独立後のお金

マイクロ法人と個人事業主の二刀流|社会保険料は月6〜8万円くらいから2万強

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個人事業と法人の2つの帳簿を天秤にかける(帳簿と電卓、ノートパソコン)
目次 7項目
  1. マイクロ法人と個人事業主の二刀流で、社会保険料は月2万円強になった
  2. 二刀流の仕組み
  3. 二刀流のメリット
  4. 二刀流のデメリット
  5. 二刀流で気をつけること
  6. 二刀流を始めるまでの手順
  7. まとめ:二刀流は社会保険料と手間を比べて決める

マイクロ法人と個人事業主の二刀流にして、僕の社会保険料は月6〜8万円くらいから月2万円強になりました。

前の金額は記憶が定かではないので、おおよその額です。後の金額は、協会けんぽと厚生年金を合わせて月2万円ちょっとです。

僕は2016年にSIerを辞めて、フリーランスエンジニアとして独立しました。2024年にマイクロ法人(合同会社)を作り、いまは個人事業と法人の二刀流です。エンジニアの売上はすべて個人事業のままで、法人は自分の資産管理をする会社にしています。

この記事では、二刀流の仕組みとメリット・デメリットを一般的な情報として整理します。社会保険料の前後の数字や面倒だったことは、僕の実際の経験のまま書きます。

法人を作るときにかかった費用は、freee会社設立の費用と合同会社を作った記録にまとめています。

マイクロ法人と個人事業主の二刀流で、社会保険料は月2万円強になった

マイクロ法人と個人事業主の二刀流にして、僕の社会保険料は月2万円強になりました。二刀流の前は、国民健康保険と国民年金で月6〜8万円くらい払っていました。

二刀流の前は国民健康保険と国民年金で月6〜8万円くらい。2024年にマイクロ法人を設立し、二刀流の後は協会けんぽと厚生年金で月2万円強
二刀流の前と後で、入っている社会保険と月額が変わった
二刀流の前二刀流の後(2024年〜)
健康保険国民健康保険協会けんぽ
年金国民年金厚生年金
月額6〜8万円くらい(概算)2万円強

二刀流の前:国保と国民年金で月6〜8万円くらい

二刀流の前の社会保険料は、国民健康保険と国民年金を合わせて毎月6〜8万円くらいでした。正直に書くと、記憶が定かではありません。この数字は、おおよその額として見てください。

フリーランスとして独立した2016年から、僕はずっと国民健康保険でした。会社を辞めるときに健康保険の任意継続という選択肢もあったのですが、よく分からず手続きをしなかったからです。

国民健康保険の保険料は、一般に前年の所得などをもとに市区町村ごとに計算されます。国民年金の保険料は、所得にかかわらず定額です。売上が伸びて所得が増えると、国民健康保険のほうが重くなっていく仕組みです。

二刀流の後:協会けんぽと厚生年金で月2万円強

2024年にマイクロ法人を作ってから、僕の社会保険は協会けんぽと厚生年金になりました。保険料は、2つを合わせて月2万円ちょっとです。

法人の事業所は、社長1人だけの会社でも健康保険と厚生年金に入る決まりになっています。日本年金機構は、強制的に適用される事業所を次のように説明しています。

株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。

出典:日本年金機構「適用事業所と被保険者」

法人の社会保険料は、所得ではなく法人から受け取る給与(役員報酬)をもとに決まります。厚生年金保険料の決まり方について、日本年金機構は次のように書いています。

厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

出典:日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

協会けんぽの健康保険料も、同じように標準報酬月額に保険料率をかけて決まります。負担は事業主と本人の折半です。保険料率は都道府県ごとに違い、毎年見直されます(協会けんぽ「令和8年度保険料額表」)。

そのため、同じ二刀流でも役員報酬や住んでいる地域が違えば、社会保険料は変わります。

売上が増えるほど差が開く

二刀流の前の社会保険料は、売上が増えるほど上がっていくものでした。独立した2016年は、国民健康保険だけで月5万円くらい払った気がします。そこから二刀流の直前には、国民年金と合わせて月6〜8万円くらいになっていました。

マイクロ法人を作ったきっかけも、ここにあります。売上が上がる見込みがあり、このままだと社会保険料が高くてやばいと思ったんです。マイクロ法人という仕組みは前々から知っていましたが、腰が重くて手を出していませんでした。独立してから法人を作るまでに、2016年から2024年までかかっています。

一方で法人で入る社会保険は、一般に個人事業の売上が増えても保険料は変わりません。保険料のもとになるのは、法人から受け取る役員報酬だからです。個人事業の売上が伸びるほど、二刀流の前と後の差は開いていきます。

僕は、二刀流を検討していいのは売上1,000万円前後くらいからかなと思っています。ただ、これは僕の感覚です。法人の維持費とのバランスは人によって違います。実際に検討するときは、税理士に数字を見てもらってください。

二刀流の仕組み

マイクロ法人と個人事業主の二刀流は、1人で個人事業と法人の両方を持って社会保険は法人で入る仕組みです。僕の場合、エンジニアの売上はすべて個人事業のままにしています。

二刀流の仕組み。サカイの下に個人事業とマイクロ法人(合同会社)。個人事業はエンジニアの売上がすべてここにあり、確定申告は自分で。マイクロ法人は資産管理会社で、役員報酬は月45,000円、協会けんぽ・厚生年金に加入
僕の二刀流の形。エンジニアの売上は個人、社会保険は法人

個人事業と法人の役割を分ける

二刀流では、個人事業と法人でそれぞれ別の事業をします。僕の場合は、次のように分けています。

個人事業マイクロ法人(合同会社)
事業フリーランスエンジニア資産管理
売上エンジニアの売上はすべてここ資産管理による収入
社会保険入らない(法人で入る)協会けんぽ・厚生年金
申告確定申告(自分で)決算申告(税理士に依頼)

エンジニアの売上を法人に移す、いわゆる法人成りも検討はしました。それでもやめたのには、2つ理由があります。

1つ目は、1人会社にいくらお金が溜まってもすぐには使えないことです。最終的に個人の口座に移すなら、最初からエンジニアの売上は個人のままのほうがいいと思いました。

2つ目は、自由度です。役員報酬という形でお金をもらうのもいいとは思います。ただ、自由度が下がるのでやめました。

法人成りと二刀流のどちらがいいかは、売上や働き方で変わります。法人化するかどうかから考えたい方は、フリーランスエンジニアの法人化と二刀流もあわせて読んでみてください。

社会保険は法人で入る

二刀流の社会保険は、個人事業ではなく法人で入ります。法人の役員として役員報酬を受け取り、その法人で協会けんぽと厚生年金に加入する形です。

健康保険は、国民健康保険と協会けんぽの両方に入ることはありません。法人で協会けんぽに入れば、国民健康保険は抜けることになります。年金も、国民年金の第1号被保険者から厚生年金の被保険者に変わります。

僕は法人を作ったとき、法務局・税務署・年金事務所に何度か足を運んで手続きをしました。年金事務所は、法人の社会保険の手続きのためです。

役員報酬を低く決める

二刀流では、法人から受け取る役員報酬を低めに決めることが多いとされています。法人の社会保険料は役員報酬をもとに決まるので、役員報酬が低ければ保険料も低くなるからです。

僕の役員報酬は月45,000円です。マイクロ法人について調べたときに、給与所得控除などを考えると45,000円が良さそうだと分かりました。それで、この額にしています。

役員報酬は、一般に事業年度の途中で自由に変えると税務上の扱いに注意が要るとされています。法人の利益や自分の生活費とあわせて、設立の前後に税理士に確かめておくと安心です。役員報酬をいくらにすれば保険料がいくらになるかは、地域の保険料率や制度の改定で変わります。この記事では、僕の役員報酬以外の金額は扱いません。

二刀流のメリット

マイクロ法人と個人事業主の二刀流のいちばんのメリットは、社会保険料が下がることです。僕の場合は、月6〜8万円くらいから月2万円強になりました。

社会保険料が下がる

二刀流で社会保険料が下がるのは、保険料のもとが個人事業の所得から法人の役員報酬に変わるからです。個人事業の売上が大きいほど、この差は大きくなります。

国民健康保険は前年の所得をもとに決まるので、売上が伸びた翌年に負担が増えていきます。法人で入る社会保険なら、個人事業の売上の伸びに合わせて保険料が上がることは一般にありません。

一方で保険料が下がれば、そのぶん将来受け取る厚生年金も役員報酬に見合った額になります。保険料を下げることと将来の給付は、セットで考えておく必要があります。

税金と経費の面

二刀流では、税金や経費の面でも違いが出るとされています。一般によく挙げられるのは、次のような点です。

  • 法人から受け取る役員報酬には、給与所得控除が使える
  • 所得を個人と法人に分けることで、税率の高い部分を減らせる場合がある
  • 法人の事業にかかる費用は、法人の経費として計上できる

どれだけ効果があるかは、個人の所得や法人の利益・事業の中身で変わります。法人には赤字でも法人住民税の均等割がかかるので、税金が必ず減るわけではありません。

個人事業のほうの経費は、二刀流にしても変わりません。僕は個人事業で、モニター・キーボード・マウス・通信費・家賃や光熱費の一部などを経費にしています。

信用

法人を持つことは、一般に取引先や金融機関からの信用につながるといわれます。法人でないと取引できない相手がいる業種では、法人があることが仕事の幅を広げる場合もあります。

ただ、僕の法人は資産管理会社です。後で書くように、法人口座はメガバンクやゆうちょで開設できませんでした。法人を作れば信用が自動的に付くとは限らない点は、知っておくと安心です。

二刀流のデメリット

マイクロ法人と個人事業主の二刀流のデメリットは、法人の維持費と帳簿・申告が2つになる手間です。僕は個人事業の確定申告を自分でして、法人の決算は税理士に頼んでいます。

設立と維持に費用がかかる

二刀流を始めるには、法人の設立費用と毎年の維持費がかかります。僕の法人の創立費は98,910円でした。司法書士への報酬も、たしかこの中に含まれていたはずです。

毎年の維持費は、次の4つです。

法人の維持費(年額)金額
税理士費用(決算申告を含む)20万円くらい
法人住民税の均等割7万円
バーチャルオフィス2万5千円
会計ソフト(freee)3万6千円ほど

合わせると、年30万円を少し超えるくらいです。社会保険料が下がった分から、この維持費を引いて考える必要があります。売上が小さいうちは、維持費のほうが重くなることもあります。

均等割は、法人の利益が出ていなくてもかかる税金です。売上がほとんど無い年でも、法人を持っている限りは毎年払うことになります。

帳簿と申告が2つになる

二刀流にすると、個人事業と法人で帳簿も申告も別々になります。個人は確定申告、法人は決算申告です。

僕は個人事業のほうは、仕訳から確定申告まで自分でやっています。法人のほうは仕訳だけ自分でして、決算資料の作成と決算申告は税理士に頼んでいます。会計ソフトは、どちらもfreee会計です。

個人事業マイクロ法人
仕訳自分(freee会計)自分(freee会計)
決算・申告自分(確定申告)税理士(決算申告)

法人の決算は個人の確定申告より複雑です。専門知識の無い自分がやるとまず間違えると思ったので、税理士に頼みました。税理士に頼んだ経緯と費用はマイクロ法人の税理士に、個人の帳簿のつけ方はfreee会計を個人事業主が使う理由に書いています。

僕は個人の確定申告や法人の決算で忙しい時期に限って、なぜか新しいことを始めて自分を追い詰めてしまいます。申告の時期が2つあることは、あらかじめ予定に入れておくと安心です。

法人の口座と手続き

二刀流で僕が面倒だと感じているのは、法人の口座と毎月の支払いです。

まず、メガバンクやゆうちょで法人口座を開設できませんでした。いまはネット銀行を使っています。理由ははっきりしません。資産管理会社だと事業の実態を証明しにくいのかもしれないと、僕は推測しています。

次に、そのネット銀行が社会保険料の引き落としに対応していません。そのため、毎月振り込みの作業をしています。さらに支払いの用紙はバーチャルオフィスに届くので、毎月取りに行っています。

面倒なこと僕の対応
メガバンク・ゆうちょで法人口座を開けなかったネット銀行を使っている
社会保険料が口座から引き落とせない毎月振り込んでいる
支払いの用紙がバーチャルオフィスに届く毎月取りに行っている

二刀流は社会保険料の数字が目立ちますが、こうした細かい手間が毎月続くこともあります。法人口座の開設や社会保険料の納付方法は、事前に金融機関や年金事務所に確かめておくと安心です。

二刀流で気をつけること

マイクロ法人と個人事業主の二刀流で気をつけたいのは、法人の事業に実態を持たせることです。社会保険料を下げるためだけの形だけの法人だと、問題になるおそれがあるとされています。

法人の事業に実態を持たせる

二刀流では、個人事業と法人で別々の事業をしていることが前提になります。一般に注意点として挙げられるのは、次のようなことです。

  • 個人事業と法人で、同じ事業を同じ取引先と分けて行わない
  • 法人の売上・経費と、個人事業の売上・経費を混ぜない
  • 法人と個人で口座を分け、お金の流れを帳簿で説明できるようにする
  • 役員報酬を決めたとおりに毎月払い、記録を残す

僕の場合は、エンジニアの仕事はすべて個人事業で受けています。法人は資産管理会社として、エンジニアの仕事とは別のことをしています。どの業種なら二刀流にできるか、どう分ければいいかは事業の中身で変わります。具体的には専門家に確かめてください。

違法と言われないために

マイクロ法人と個人事業主の二刀流そのものは、一般に違法ではないとされています。法人を作ることもその法人で社会保険に入ることも、制度の範囲の中で行うものだからです。

法人に事業の実態が無かったり個人事業と法人の境目があいまいだったりすると、税務署や年金事務所から説明を求められる可能性があるといわれます。

制度の運用は改正や通知で変わることもあります。最新の扱いは、日本年金機構・協会けんぽ・国税庁などの公式情報と、専門家の意見で確かめてください。

税理士に確かめてから始める

二刀流を始めるなら、法人を作る前に税理士に相談しておくと安心です。事業の分け方・役員報酬・決算月などは、設立のときに決めることが多いからです。

僕の税理士探しは、最初は苦労しました。最初はfreee経由で紹介してもらった税理士で決まりそうになったのですが、後日「資産管理会社だと対応できない」と断られました。その後も税理士のマッチングサイトで数人とやりとりして、同じ理由で断られています。なんとか1人、対応してくれる税理士が見つかったのが今の税理士です。

僕の場合、断られた理由はどれも「資産管理会社だから」でした。問い合わせの最初に法人で何をするのかと二刀流であることを伝えておけば、対応できるかどうかを早めに確かめられます。社会保険の手続きや役員報酬と保険料の関係は、社会保険労務士に相談する方法もあります。

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二刀流や資産管理会社のように対応してもらえる税理士が限られる場合は、最初に法人の中身を伝えたうえで探してもらうのが1つの方法です。

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二刀流を始めるまでの手順

マイクロ法人と個人事業主の二刀流を始めるには、法人の形を決めて設立し社会保険の手続きをします。僕は、設立の手続きのほとんどをfreee会社設立の中で進めました。

一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 個人事業と法人で、何を分けるかを決める(税理士に相談)
  2. 法人の形(合同会社か株式会社か)と役員報酬を決める
  3. 定款を作り、法務局で設立の登記をする
  4. 税務署・都道府県・市区町村に設立の届出をする
  5. 年金事務所で、健康保険と厚生年金の手続きをする
  6. 法人口座を開き、役員報酬の支払いを始める

法人の形を決める(合同会社か株式会社か)

マイクロ法人の形は、合同会社か株式会社のどちらかを選ぶことが多いです。僕は合同会社にしました。

会社を大きくする必要が無かったので、設立費用の低い合同会社でいいと判断したからです。一般に合同会社は株式会社より設立の費用が抑えられ、定款の認証も要らないとされています。株式会社のほうが知名度があり、取引先によっては通りやすいとする意見もあります。

合同会社株式会社
設立の費用比較的低い比較的高い
定款の認証要らない要る
向いている場合会社を大きくする予定が無い出資者を募る、知名度を重視する

設立の費用と流れ

僕は法人を作るときに、freee会社設立を使いました。freeeの中で司法書士にも頼んだので、ほぼすべてfreeeで完結したはずです。創立費は98,910円でした。

ただ、登記や届出が全部オンラインで済んだわけではありません。法務局・税務署・年金事務所には、何度か行って必要な手続きをしました。設立にかかった期間は、たしか1〜2か月くらいです。

設立の費用と流れの詳しいことは、freee会社設立の費用と合同会社を作った記録にまとめています。

まとめ:二刀流は社会保険料と手間を比べて決める

マイクロ法人と個人事業主の二刀流にして、僕の社会保険料は月6〜8万円くらいから月2万円強になりました。

もう一度、僕の二刀流の形をまとめます。

  • エンジニアの売上はすべて個人事業。法人は資産管理会社
  • 社会保険は法人で協会けんぽと厚生年金に入り、役員報酬は月45,000円
  • 法人の維持費は年30万円を少し超えるくらい
  • 個人の確定申告は自分、法人の決算は税理士
  • 法人口座はネット銀行で、社会保険料は毎月振り込み

社会保険料の数字だけを見ると、二刀流は得に見えます。ただ、維持費や毎月の手間がかかり法人の事業に実態を持たせる必要もあります。僕は売上1,000万円前後くらいが検討の目安かなと思っていますが、判断は人それぞれです。

社会保険料や税金は、ご自身の所得・家族構成・住んでいる地域で変わります。二刀流にするかどうかや事業の分け方は、税理士や社会保険労務士に相談してから決めてください。

この記事を書いた人

サカイ

フリーランスエンジニア

2009年に新卒でSIerに入社し、2016年にフリーランスエンジニアとして独立。.NET中心の業務系システム、金融系の案件を2016年から継続。現場では面談する側にも入っている。

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