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SIerからフリーランスになるには?2016年に独立した僕の手順と単価

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SIerからフリーランスになるまでの道筋(折りたたんだ地図の上で、会社のビルから自宅へ続く点線の道)
目次 8項目
  1. SIerからフリーランスにはなれる。必要なのは経験の棚卸しと最初の1案件
  2. SIerからフリーランスになる手順(在職中から初案件まで)
  3. SIer出身フリーランスの年収と単価
  4. SIer出身者が案件で評価される経験とスキル
  5. フリーランスになるメリットとデメリット
  6. 案件の探し方と単価の上げ方
  7. SIer出身フリーランスの将来性と、独立を迷う人への判断軸
  8. よくある質問

SIerからフリーランスエンジニアには、実務経験があればなれます。必要なのは、これまでの経験を棚卸しして伝えられる形にすることと最初の1案件を決めることです。SIerで業務系システムを作ってきた経験は、業務委託の案件でもそのまま評価の材料になります。

僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年にフリーランスエンジニアとして独立しました。.NETを中心に、業務系システムの現場で働いています。独立してから、案件と案件の間に無収入の期間は一度もありません。いまは現場で、業務委託のエンジニアを面談する側に入ることもあります。

この記事では、SIerからフリーランスになる手順を在職中の準備から最初の案件まで順番に書きます。そのうえで、年収と単価・案件で評価される経験・メリットとデメリット・案件の探し方・将来性までをまとめます。このカテゴリの各記事への入口として使ってください。

案件の探し方から先に知りたい方は、フリーランスエンジニアのエージェントの選び方にまとめています。

独立が自分に合うかをまず確かめたい方は、SIerキャリア診断(約2分)で、独立・転職・現職で経験を積むのどれが近いかを見られます。

SIerからフリーランスにはなれる。必要なのは経験の棚卸しと最初の1案件

SIerからフリーランスエンジニアになることは、数年の実務経験があれば十分に現実的な選択肢です。フリーランスエンジニアの案件の多くは、企業のシステム開発や保守を業務委託で手伝う形だからです。SIerで受託開発をしてきた人にとって、仕事の中身そのものは大きく変わりません。

変わるのは、仕事の取り方と契約の形です。だから最初にやることは、自分の経験を「どの現場で何ができる人か」が伝わる形に整理することです。そのうえで最初の1案件が決まれば、フリーランスとしての実績が積み上がり始めます。

受託開発の経験は業務委託でも活きる

SIerの受託開発の経験は、フリーランスの業務委託でもそのまま活きます。どちらも、顧客の業務をシステムにする仕事だからです。

違いは、誰と契約を結ぶかです。会社員は会社と雇用契約を結び、会社が受けた案件に配属されます。フリーランスは自分が契約の主体になり、案件ごとに業務委託の契約を結びます。

フリーランスの案件では、発注元と自分の間にいくつかの会社が入ることがよくあります。僕の金融系の現場も「エンド → システム開発会社 → エージェント → 僕」という商流です。元請けや二次請けとして案件に入ってきたSIerの人には、なじみのある構造です。設計書を読んで作る・レビューを受けて直す・手順に沿ってテストするといった進め方も、業務委託の現場でそのまま強みになります。

求められる実務経験の目安

フリーランスの案件は即戦力を求めるので、実務経験の年数が条件になることが一般的です。エージェントの公開案件にも、実務経験の年数を応募の条件にしたものがよくあります。

ただ、年数だけで決まるわけではありません。どの工程を自分で任されていたかやどんな業務のシステムを作ってきたかのほうが、案件との相性を左右します。

面談する側としてスキルシートを見るとき、僕がまず見るのはスキルが現場に合っているかどうかです。合っていなくても、それでもいいと思える観点があれば大丈夫です。もう1つ、直近の経歴が数か月のものばかり続いていると不安に感じます。

僕は2016年に.NETの経験を持って独立した

僕は2016年、30歳前に、.NETで業務系システムを作ってきた経験を持って独立しました。会社員のころに使っていた言語はC#とVB.NETが半々くらいで、若干VB.NETが多かったかもしれません。Windowsフォームアプリ・Webサイト・コンソールアプリなど、業務系のシステムをたくさん作ってきました。

独立を選んだのは、とにかく収入を上げたかったからです。転職は考えませんでした。フリーランスが手っ取り早いという、けっこう安易な理由で決めています。

最初の案件が決まった面談では、.NETの経験が7年ほどあり基本的に一人称で仕事を進められることを伝えました。面談で聞かれることと答え方は、フリーランスエンジニアの面談対策にまとめています。

SIerからフリーランスになる手順(在職中から初案件まで)

SIerからフリーランスになる手順は、「経験の棚卸しとスキルシート作り → エージェントへの登録と面談 → 退職と開業の手続き → 最初の案件への参画」の流れが一般的です。順番は人によって前後します。退職の話を本格的に進める前に案件探しの相談まで進めておくと、収入が途切れる期間を作りにくくなります。

SIerからフリーランスになる4つの段階。1 経験の棚卸し(スキルシートを作る)、2 エージェントに相談(面談を受ける)、3 退職と開業の手続き(開業届・保険・年金)、4 最初の案件に参画
SIerからフリーランスになるまでの4つの段階

僕の場合の順番は、だいたい次のとおりです。

  1. 退職の半年ほど前に、会社へ軽く打診だけした
  2. エージェントに相談した
  3. スキルシート(経歴書)を作った
  4. 面談を受けて、最初の案件が決まった
  5. 退職の1〜2か月前くらいに、本格的に退職の話を進めた
  6. 退職後に、開業届・事業用の口座・クレジットカードを用意した

健康保険をどうするかは、辞める前に調べていませんでした。正直に書くと、案件探しは在職中に進めていた一方で、手続きの準備は十分ではありませんでした。手続きは退職の前に一度調べておくと、辞めたあとに慌てずに済みます。

独立するときの面談は2回受けて、1つは落ちて1つは受かりました。落ちた面談でどう崩れたかはフリーランスの面談に落ちる理由に、在職中にやることの一覧はフリーランスエンジニアの準備にまとめています。

経験を棚卸ししてスキルシートを作る

最初の作業は、これまでの経験を案件ごとに書き出すことです。書き出した内容が、エージェントや現場に出すスキルシート(経歴書)の元になります。

棚卸しでは、案件ごとに次のようなことを書き出すのが一般的です。

  • 業務の概要(どんな業務のシステムか)
  • 開発規模と、チームの中での役割
  • 担当した工程(要件定義・設計・実装・テスト・保守など)
  • 使った言語・ツール・OS
  • その案件で身に付いたことと、工夫したこと

僕がエージェントに出す経歴書に書いたのは、業務の概要・開発システム概要・開発規模・役割・言語・使用ツール・OSあたりだったはずです。途中から、その案件での「習得スキル」と「意識したこと」も書くようにしました。面談でも自分が意識したことを話すようになり、それは案件獲得にプラスになっていると思います。

書き方の例と項目ごとの考え方は、スキルシートの書き方にまとめています。

エージェントに登録して面談を受ける

在職中に案件を探すなら、フリーランスエンジニア向けのエージェントに登録するのが現実的な入口です。平日の昼に企業とやり取りする時間を取りにくい会社員でも、案件探しと日程の調整を任せられます。一般的には、無料で登録して担当者に経験と希望条件(単価・稼働日数・リモートか常駐か・参画できる時期)を伝え、紹介された案件の書類選考と現場との面談を経て契約します。

僕は退職の話を本格的に進める前に、エージェントに相談しました。独立してからずっと、使っているエージェントは1社だけです。

エージェントは1社に絞らず、まず2〜3社に話を聞いて比べるのが一般的です。初めてフリーランスを検討する人向けの案内を出しているエージェントの1つに、Midworksがあります。

Midworksは株式会社Branding Engineerが運営する、フリーランスエンジニア向けのエージェントです。公式サイトで確かめたことは次のとおりです(2026年10月2日確認)。

  • 公開案件は25,000件以上で、非公開の案件が全体の80%と記載されている
  • 案件が途切れたときに報酬を保障するサービスがある(審査に通過するなど一定の条件あり)
  • 支払いサイトは20日が標準(案件によって異なる場合あり)
  • 初めてフリーランスを検討する人向けのページがある
  • VB.NETやC#.NETの案件も掲載されている

在職中からエージェントに相談するPR

Midworksは、僕自身は使ったことがありません。このページからのご案内の対象は、エンジニアの経験があり関東(東京・千葉・神奈川・埼玉)・関西(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・三重)・愛知・福岡で働く21〜59歳の方です。会社員の方(これから独立する方)も対象です。

Midworksの公式サイトを見る

報酬保障には審査があります。内容は2026年10月2日に公式サイトで確認したものです。最新の条件は公式サイトで確かめてください。

ほかのエージェントとの比べ方は、フリーランスエンジニアのエージェントの選び方で7社の公式情報を表にしています。

退職と開業届・保険の切り替え

会社を辞めて個人事業主になると、税金と社会保険の手続きを自分でやることになります。主な手続きは次のとおりです。

手続き内容公式の案内
開業届事業を始めた年分の確定申告期限までに、税務署へ出す国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」
青色申告の承認申請原則は青色申告をしたい年の3月15日まで。1月16日以後に事業を始めた場合は、事業開始の日から2か月以内に出す国税庁「所得税の青色申告承認申請」
健康保険国民健康保険に入る・会社の健康保険を任意継続する・家族の扶養に入る、などから選ぶ協会けんぽ「任意継続」(協会けんぽの場合)
年金厚生年金から国民年金に切り替えるお住まいの市区町村の窓口

協会けんぽの任意継続は、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることが条件で、退職日の翌日から20日以内に手続きする必要があります。会社の健康保険組合に入っている人は、その組合の案内を確かめてください(表の内容は2026年10月2日に各公式ページで確認したものです)。

僕は2016年の開業届を、税務署の窓口に出しました。わけも分からず、ネットで調べた書類に必要事項を書いて提出しています。青色申告の届出は間に合いました。

健康保険は、任意継続がよく分からず手続きをしなかったので、国民健康保険になりました。独立1年目は、いろいろな書類が届いて何が自分に必要なのか本当に分かりませんでした。会社員のときは会社がそのあたりをやってくれていたのだと、辞めてから実感しています。

クレジットカードは、会社員のうちに作っておくのが無難だと思います。税金と社会保険は、住んでいる自治体や家族の状況で変わります。自分の場合にどうなるかは、税務署・市区町村の窓口・税理士などの専門家に確かめてください。

副業から始めるという選択肢

いきなり独立するのが不安な人は、会社員のまま副業で業務委託の仕事を受けてみる方法もあります。自分の経験が社外でどう評価されるかや、契約・請求・確定申告の流れを小さく試せます。始める前に、就業規則で副業が認められているか・守秘義務や競業の決まりに触れないか・本業に支障が出ない稼働量かを確かめておきます。

一方で、SIerの業務系システムの案件は平日の日中に稼働する常駐やフルタイムのものが多くあります。会社員のまま受けられる案件は限られます。副業で経験を試すか在職中に最初の案件を決めてから辞めるかは、自分の状況で選んでください。

SIer出身フリーランスの年収と単価

SIer出身のフリーランスエンジニアの年収は、月額単価と稼働した月数でほぼ決まります。月額単価×12か月が、1年間のおおよその売上です。会社員の年収と比べるときは、売上・所得・手取りのどれを見ているかをそろえる必要があります。

公開データで見る相場

フリーランス全体の収入は、内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁が行った令和4年度フリーランス実態調査で見られます(2022年8月の調査・集計数2,119名)。フリーランスとしての事業による直近1年間の収入(売上から経費を引いた、税・社会保険料を引く前の所得)は、次のとおりでした。

直近1年間の収入(所得)割合
100万円未満14.1%
100〜500万円未満47.4%
500〜800万円未満14.4%
800〜1000万円未満4.1%
1000万円以上3.4%
わからない・答えたくない16.4%

出典:内閣官房新しい資本主義実現会議事務局ほか「令和4年度フリーランス実態調査結果」。100〜500万円未満・500〜800万円未満・800〜1000万円未満は、元の表の区分を合算しています。

この調査は職種を問わないフリーランスの数字で、副業の人も含みます。回答者は50代と60代で約7割を占めています。エンジニアの相場として見るには、エージェントが公開している案件の単価も参考になります。ただし、それは掲載された案件の募集単価です。実際に契約した額とは限りません。

僕の感覚値では、1つの案件で月額100万円の人はかなり上位層で、60〜80万円くらいの人が多い印象です(単価100万は上位層)。数字の読み方は、フリーランスエンジニアの単価相場で詳しく扱います。

月額50万円から始まった僕の場合

僕の最初の単価は、2016年の独立時で月額50万円でした。今思うと低い単価です。それでも当時はかなり嬉しかったのを覚えています。

会社員のころの年収は400万円くらいでした。残業はほとんどしていなかったので、月の手取りは20万円にも届いていなかったと思います。単価50万円のころの月の手取りは、感覚としては30〜40万円くらいでした。自由に使えるお金がかなり増えたと感じました。

その後、単価は少しずつ上がりました。2024年からは、2つの案件を合わせて月額120万円です。いまの年間の売上は約1440万円で、所得は約1000万円です。

独立した瞬間に収入が跳ね上がったわけではなく、少しずつしか動かない時期も長くありました。単価の推移はフリーランスエンジニアの年収のリアルにまとめています。

年収・所得・手取りは別の数字

フリーランスの「年収」を見るときは、売上・所得・手取りの3つを分けて考えます。

数字中身
売上案件の報酬の合計。月額単価×稼働月数
所得売上から必要経費を引いた額
手取り所得から税金と社会保険料を払った残り

所得の考え方は、国税庁のNo.1350 事業所得の課税のしくみで「総収入金額-必要経費=事業所得の金額」と説明されています。

会社員は社会保険料の半分を会社が負担していますが、フリーランスは国民健康保険と国民年金を自分で払います。会社員時代の年収とフリーランスの売上をそのまま比べると、差を大きく見積もりすぎることになります。

手続きの書類で年収の欄を書くとき、僕はいまだに迷います。売上を書くべきか、経費を引いた所得を書くべきか。正解はまだ分かっていません。

SIer出身者が案件で評価される経験とスキル

SIer出身者がフリーランスの案件で評価されやすいのは、「業務知識」「一人称で進められること」「上流工程と調整の経験」の3つです。言語の経験はもちろん見られます。ただ同じ言語の経験者が複数いるときは、この3つで差がつくことが多いです。

業務知識(金融・公共など)

金融・公共・製造・流通などの業務を知っていることは、案件との相性を大きく左右します。業務の言葉が通じる人は、仕様の理解にかかる時間が短くて済むからです。

僕は会社員時代に、生保・損保など金融系の案件に携わっていました。独立して最初の現場は、同じ金融の信託銀行です。親和性があったのではないかと考えています。金融系の現場には、2016年からずっと携わっています。

SIerにいると、同じ業界の顧客を何年も担当することがよくあります。スキルシートでは、言語や工程と並べて「どの業界のどの業務か」を書いておくと伝わりやすくなります。

一人称で進められること

一人称で進められるとは、任された範囲を自分で理解して周りに確認しながら最後まで進められることです。業務委託では、細かく指示を受けて動く人より任せた範囲を自分で回せる人が求められます。

面談する側に入るようになってからは、質問と答えがかみ合っているかを見ています。かみ合っている人には安心して任せられそうだと感じ、かみ合っていない人は仕事がしにくそうだと感じます。一人称で進められるかどうかは、こうした受け答えの中にも表れます。

上流工程と調整の経験

要件定義・基本設計といった上流工程や顧客・他社との調整の経験は、単価の高い案件につながりやすい経験です。SIerで顧客と話しながら仕様を決めてきた人は、この経験をスキルシートに具体的に書いておくと評価されやすくなります。

いま僕は、発注側(情シス)の立場の仕事もしています。キャリアの初めはベンダー側だったので、発注側と受注側のどちらの目線にも立てるのは良かったと感じています。SIerで受注側を経験してきたことは、発注側に回ったときにも活きます。情シスの仕事を業務委託で受ける働き方は、社内SEからフリーランスへに書きました。

SIerの種類で活きる分野が変わる

SIerは成り立ちによって、いくつかの種類に分けられるのが一般的です。どの種類のSIerにいたかで、得意な業界や工程が変わります。

SIerの種類特徴活きやすい案件の例
ユーザー系金融・商社などの事業会社のシステム部門から独立した会社親会社と同じ業界(金融など)の業務システム
メーカー系コンピューターメーカーのシステム部門から独立した会社公共・大企業の大規模システム、インフラ
独立系親会社を持たない会社業界を問わない業務システムの開発・保守
外資系海外のIT企業の日本法人パッケージ製品の導入、英語を使う案件
コンサル系コンサルティング会社が母体の会社業務改革を含む上流工程・PM

この分け方は目安です。同じ種類のSIerでも、担当した顧客や部署で経験は大きく違います。スキルシートには会社の種類ではなく、自分が担当した業界・業務・工程を書くのが基本です。

フリーランスになるメリットとデメリット

SIerからフリーランスになるメリットは、収入を上げやすく働き方を自分で選べることです。デメリットは、社会的信用や手続き・収入の波を自分で引き受けることです。

会社員とフリーランスの比較。収入は会社員が給与で安定、フリーランスは単価次第で上げやすい。働き方は会社員が会社の配属、フリーランスは案件を自分で選ぶ。手続きは会社員が会社が代行、フリーランスは自分で行う。収入の波は会社員が小さい、フリーランスは案件の切れ目がある
会社員とフリーランスの違い

収入・社会保険・働き方などを会社員と項目ごとに比べた内容はフリーランスエンジニアと会社員の違いにまとめています。

収入と働き方の自由度

フリーランスになると、収入は単価で決まります。会社の昇給の仕組みを待たずに、案件の選び方と交渉で収入を上げられるのがメリットです。僕の場合も、会社員時代の年収400万円くらいから大きく変わりました。

働く場所も選びやすくなります。僕はフリーランスになってから、なるべく自宅の近くの現場を探してもらっていました。2016年からは電車通勤がほとんどなくなり、自転車か徒歩での通勤が中心になりました。2020年のコロナ禍をきっかけに、いまはフルリモートです。

フルリモートになって通勤は消えましたが、良くも悪くも自己責任の範囲が広がりました。自己管理ができないとフルリモートはできないので、「みんなやったほうがいい」とは全然思いません。リモートで働く実際はフリーランスエンジニアのリモート案件に書きました。

社会的信用・手続き・収入の波

フリーランスのデメリットとしてよく挙げられるのが、社会的信用・手続き・収入の波の3つです。

社会的信用については、僕はクレジットカードの審査で困ったことはありません。ただ、賃貸の契約では複数年分の確定申告書を出さないといけないことがありました。手続きの書類に会社名の欄があると毎回迷い、「個人事業主」と書くことが多いです。

手続きは、税金・社会保険・確定申告をすべて自分でやることになります(僕が独立1年目に戸惑ったことは、上の「退職と開業届・保険の切り替え」に書きました)。

収入の波は、案件が終わってから次が決まるまでの期間に生まれます。僕は2016年に独立してから、案件と案件の間に無収入の期間が一度もありません。会社にとって必要な人材だと認められれば、案件が途切れることを心配することは無いと思っています。いまの金融系の案件の契約更新は、もともとは2〜3か月ごとだった気がします。それが、いまは半年ごとです。

「やめとけ」と言われる理由への答え

「SIerからフリーランスはやめとけ」と言われる理由は、主に収入の不安定さ・手続きの負担・会社員に戻りにくいという3つです。どれも本当にある面ですが、条件によって重さが変わります。

契約が切れそうでヒヤッとしたことは、僕はありません。勤怠が良好で与えられた仕事をこなしていれば切られることは基本ないと思っていて、短期間で切られる人には勤怠の不正・体調を崩す・受け身になりすぎるなどの原因が何かしらあると感じます。詳しくはフリーランスエンジニアの契約終了に書きました。

「フリーランスになると会社員に戻れない」という人もいますが、僕は全然そうは思いません。業務委託で即戦力を期待されて期待どおりかそれ以上の成果を出せる人なら、会社員に戻っても高い成果を出すと思います。「やめとけ」と言われる理由の一つひとつへの答えは、フリーランスエンジニアはやめとけ?で扱います。

案件の探し方と単価の上げ方

フリーランスエンジニアの案件の探し方は、エージェント・直接契約・人脈の3つが主な方法です。SIerから初めて独立する人には、案件探しと単価交渉を任せられるエージェントが現実的な入口です。

エージェント・直契約・人脈の違い

3つの探し方の違いは、次のとおりです。

探し方向いている人気をつけたいこと
エージェント初めて独立する人、営業や交渉が苦手な人マージン(エージェントの取り分)が引かれる
直接契約自分で契約書を読み、交渉と請求までこなせる人案件探し・交渉・入金の確認をすべて自分でやる
人脈(知人の紹介など)前の職場や取引先とのつながりがある人紹介が続くとは限らず、条件の交渉がしにくいこともある

このほか、クラウドソーシングやSNSで仕事を探す方法もあります。ただSIerの業務系システムのように数か月以上続く案件は、エージェント経由のものが多いのが一般的です。

気をつけたいのは、エージェント経由で入っている現場とエージェントを抜いて直接契約することです。僕は持ちかけられたことはありませんが、法的なことは分からないものの倫理的にNGだと思っているので、仮に言われても断ります。

1社のエージェントで続けてきた僕の場合

僕は2016年からずっと、エージェントは1社だけを使ってきました。続けている理由は、案件が途切れないことと担当とのやり取りが楽なことです。担当営業とは2か月に1回くらい、Zoomで30分ほど話しています。

ただ、これは今の1社に不満が無かった僕の場合の話です。複数のエージェントに登録して自分の市場価値を知るのは大事で、つてが無いならまずは複数に登録するのが良いと思います。案件もエージェントも、複数を比べるから良し悪しが分かるからです。

複数登録するときの注意点はフリーランスエンジニアのエージェントは複数登録すべき?に、各社の比較はフリーランスエンジニアのエージェントの選び方にまとめています。

交渉しないと上がらない

フリーランスの単価は、勝手に上がることはなく交渉しないと上がらないと僕は思っています(クライアントが変わって上がったことはあります)。交渉の進め方と担当営業に渡している実績メモは、フリーランスエンジニアの単価交渉に書いています。

SIer出身フリーランスの将来性と、独立を迷う人への判断軸

SIer出身のフリーランスエンジニアの将来性は、業務系システムの経験を持ち任された範囲を自分で回せる人ほど明るいと考えられます。企業の業務システムは作って終わりではなく、保守や改修が長く続くからです。

長く生き残るのはどんな人か

いまの現場で僕の周りにいるフリーランスは、2〜3人です。増えている実感はありませんが、減っている印象もありません。若手でイケイケのフリーランスより、経験豊富なベテランが多い印象です。長く生き残っていくのは、結局そういう人なのかもしれません。

僕自身はいくつかの現場を経験して、どこへ行ってもある程度なんとかなるという自信がつきました。35歳を超えてからは、周りから求められるものも明らかに変わったように感じます。

AIで単価や案件は変わったか

AIによる単価や案件への影響は、僕の場合は正直まだありません。仕事がまったくなくなるというより人間がやる領域が変わるという理解で、少しずつでもAIに触ることが大事だと思っています。

面談する側としては、自分の仕事をどれだけAIに任せられるか考えながら働いている人を「使える」と感じます。AIで単価や仕事がどう変わるか、僕の使い方はフリーランスエンジニアとAIに詳しく書いています。

独立しないほうがいい人

フリーランスは、誰にでもすすめられる働き方ではありません。次のような場合は、会社員を続けるか準備の期間をとるほうが合っています。

  • 実務経験が浅く、一人で任された範囲がまだ少ない
  • 自己管理が苦手で、決まった時間に決まった場所で働くほうが力を出せる
  • 税金や社会保険の手続きを自分でやることに強い抵抗がある
  • 収入の多少の波も生活に大きく響く状況にある

「しょうがないから会社員」「しょうがないからフリーランス」のように妥協してキャリアを選んでいる人は、働き方に関係なくうまくいかないと僕は思っています。会社員を続けるのもフリーランスになるのも、自分で選んだのならどちらも1つの答えです。迷っている人は、まずスキルシートを書いて自分の経験を棚卸しするところから始めると判断しやすくなります。独立の判断軸は、エンジニアが独立するにはで詳しく扱います。

よくある質問

最後に、SIerからフリーランスになるときによく聞かれる質問に答えます。

何年目から独立できますか

何年目なら独立できる、という決まった答えはありません。フリーランスの案件は即戦力を求めるので、一般的には数年の実務経験があると選べる案件が増えます。

僕の場合は、エンジニア歴7年ほどで独立しました。年数より大事なのは、どの工程を自分で任されてきたかとその経験を面談で説明できるかです。自分の経験に合う案件がどのくらいあるかは、エージェントの公開案件を見ると目安がつかめます。

資格は必要ですか

フリーランスの案件では、資格よりも実務経験が見られることが一般的です。ただ、取れるならあったほうがいいと僕は思っています。資格は、経験を客観的に示す材料にもなります。

僕はIT系の資格を持っていません。基本情報技術者試験と応用情報技術者試験を受けたことはありますが、どちらも不合格でした。資格が無くても実務で困ったことはありませんが、資格ゼロでいいわけではなく、取れるに越したことはないけれど取れなかっただけです。

SIerとSESの違いは何ですか

SIerは、顧客からシステム開発を請け負って完成させる責任を持つ会社です。SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアの技術力を提供する契約の形です。成果物ではなく、作業の時間に対して報酬が支払われるのが一般的です。

フリーランスエンジニアの案件の多くは、SESに近い準委任の形で契約します。月額単価が決まっていて、稼働時間の幅(精算の条件)が設けられていることがよくあります。SIerで請負の案件を経験してきた人は、契約の形が変わることを知っておくと契約書を読むときに迷いにくくなります。請負・準委任・精算幅などの契約の言葉は、SIer用語集にまとめています。

SIerからフリーランスになるかどうかは、急いで決める必要はありません。経験の棚卸しをして、エージェントに話を聞いてから判断しても遅くはありません。案件の探し方はフリーランスエンジニアのエージェントの選び方を参考にしてください。

SIerからフリーランスの記事

  1. まとめフリーランスエンジニアのエージェントの選び方|面談する側から見た比較フリーランスエンジニア向けエージェントの選び方を、現場で面談する側にも入っているサカイが整理します。SIer出身者が比べたいエージェント7社の公式情報、選び方の5つの基準、メリット・デメリット、登録から参画までの流れをまとめます。
  2. フリーランスエンジニアの単価交渉は2〜3年おき|エージェントに渡す実績メモフリーランスエンジニアの単価交渉を、2〜3年おきにエージェント経由で交渉しているサカイが解説します。切り出すタイミング、渡す実績メモの4つのブロック、希望額の決め方、希望どおりにならないときの受け止め方をまとめます。
  3. フリーランスエンジニアの面談対策|受ける側と面談する側の両方から解説フリーランスエンジニアの面談対策を、面談を受ける側と面談する側の両方を経験しているサカイが解説します。面談で見られるポイント、面談の流れ、よく聞かれる質問と答え方、事前の準備をまとめます。
  4. フリーランスの面談に落ちる理由|独立時に1社落ちた僕と面談する側の視点フリーランスの面談に落ちる理由を、2016年の独立時に面談で1社落ちたサカイが、面談する側の視点も合わせて整理します。落ちる人に共通すること、落ちないための準備、落ちた後にやることをまとめます。
  5. フリーランスエンジニアはやめとけ?案件が途切れなかった僕の本音と条件「フリーランスエンジニアはやめとけ」と言われる理由を、2016年の独立から案件が途切れなかったサカイが検証します。不安定さの実態、続けている理由、向いている人・やめたほうがいい人、独立前に確かめることをまとめます。
  6. フリーランスエンジニアの年収のリアル|単価50万から売上1440万円までフリーランスエンジニアの年収を、月額50万円から始めて売上約1440万円になったサカイの実例と公開データで整理します。平均と中央値の読み方、年収1000万円に届く条件、年収・所得・手取りの違い、年収を上げる方法をまとめます。
  7. エンジニアが独立するには?SIerから2016年に独立した僕の手順と判断軸エンジニアが独立する方法を、SIerから2016年にフリーランスとして独立したサカイが整理します。独立のタイミングを決める判断軸、収入の目安、失敗する原因、独立の手順、独立して分かった「戻り道」をまとめます。
  8. フリーランスエンジニア1年目のリアル|初単価50万・面談・税金で迷ったことフリーランスエンジニア1年目のリアルを、初単価月額50万円で独立したサカイが振り返ります。最初の案件が決まるまで、いちばん困った税金と保険の手続き、1年目を乗り切るために先にやっておくことをまとめます。
  9. フリーランスエンジニアの契約終了|切られる人の共通点と更新され続ける人フリーランスエンジニアの契約終了を、先方の都合と本人の原因に分けて整理します。短期で切られる人に共通すること、更新され続ける人がやっていること、契約終了を告げられたときと自分から終わらせたいときの進め方をまとめます。
  10. フリーランスエンジニアの単価相場|公開データの読み方と適正単価の決め方フリーランスエンジニアの単価相場を公開データで整理します。職種・言語・業界・経験年数による違い、月単価を時給と年収に置き換える方法、自分の適正単価の決め方、相場より低いと感じたときの動き方をまとめます。
  11. フリーランスエンジニアの単価100万は上位層|届く条件と柱を増やす考え方フリーランスエンジニアの単価100万円がどのくらいの位置にあるかを、現場で面談する側にも入っている立場から整理します。公開データの見方、1つの案件で100万円に届く条件、年収・手取りの見え方、単価の上げ方、収入の柱を複数作る考え方をまとめます。
  12. 社内SEからフリーランスへ|情シスの仕事を業務委託で受ける働き方と単価社内SE(情シス)の仕事をフリーランスとして業務委託で受ける働き方を、2025年4月から情シスの立場で要件定義から受入テストまでを担当しているサカイが解説します。社員の社内SEとの違い、求められるスキル、単価とリモートの実情、案件への入り方をまとめます。
  13. スキルシートの書き方|エンジニアの案件につながった項目と意識したことエンジニアのスキルシートの書き方を、案件ごとの経歴に「習得スキル」と「意識したこと」を書き足したサカイの例で解説します。書く項目、職務経歴書との違い、読みやすくする基本ルール、雛形をまとめます。
  14. フリーランスエンジニアの準備|SIer在籍中にやること・やらずに困ったことフリーランスエンジニアになる前の準備を、SIer在籍中にやること・退職後すぐの手続き・お金の管理・仕事の環境に分けて整理します。2016年に独立したサカイの順番と、退職後に回して困ったことも書きます。
  15. C#フリーランスの単価と案件|VB.NETと半々で業務系を作ってきた僕の実感C#のフリーランス案件の単価・案件数を公開データで整理し、多い仕事の中身、求められるスキル、なり方、将来性と単価の上げ方、案件の探し方をまとめます。C#とVB.NETを半々で書き、業務系システムを作り続けてきたサカイの実感つきです。
  16. フリーランスエンジニアの金融案件|証券・信託銀行の現場で見た特徴と入り方フリーランスエンジニアの金融案件の種類・単価相場・現場の制約・入り方を解説します。2016年から証券・信託銀行などの金融系の現場で働いているサカイが、隔離された作業部屋や夜間・休日の障害対応、会社員時代の生保・損保の経験と最初の案件の話を書きます。
  17. フリーランスエンジニアはAIで仕事がなくなる?単価への影響と僕の使い方フリーランスエンジニアの仕事はAIでなくなるのか、単価は下がるのかを公的データと調査で整理します。仕事では対話型AI、個人ではエージェント型AIを使い、面談する側にも入るサカイが、任せられることと詰まるところ、面談で見ている点、身につけたいスキルと案件の探し方を書きます。
  18. フリーランスエンジニアのリモート案件は何割?2020年からフルリモートの僕の実感フリーランスエンジニアのリモート案件の割合を公開データで整理し、リモートで働きやすい案件、フルリモートの1日、メリットとデメリット、合う人・合わない人、作業環境、案件の探し方をまとめます。2020年のコロナ禍からフルリモートで働くサカイの実感つきです。
  19. フリーランスエンジニアの上流工程|単価と実装から要件定義に広げた僕の道筋フリーランスエンジニアの上流工程(要件定義・設計・PM・PMO・発注側の情シス)の仕事内容と単価相場を公開データで整理し、案件の種類、求められるスキル、実装中心から上流の案件に入る方法と探し方をまとめます。実装中心から上流の経験を取りにいき、2025年4月から情シスの立場で要件定義〜受入テストを担当しているサカイの経緯つきです。
  20. フリーランスエンジニアの年齢は何歳まで?30代・40代で変わることと案件の条件フリーランスエンジニアは何歳まで働けるのかを、公的な調査とエージェントの年齢の条件で整理します。30代・40代・50代で見られることの違い、35歳を超えて感じた変化、年齢を重ねても案件が途切れない人の条件を、業務委託の面談で面談する側にも入るサカイの実感つきでまとめます。
  21. フリーランスエンジニアが正社員に戻るには?難しい理由と戻れる人の条件フリーランスエンジニアが正社員に戻れるのか、難しいと言われる理由(企業が気にする3つの不安)、戻れる人の条件、4つの戻り方、転職活動の進め方、手続きとお金の確かめ方をまとめます。業務委託先で「うちの会社に入っちゃえばいいのに」と言われた3回の話と、業務委託の面談で面談する側から見ていることを、正社員には戻っていないサカイが書きます。
  22. フリーランスエンジニアの案件探し|6つの方法と提案から1か月で決めた流れフリーランスエンジニアの案件探しの6つの方法(エージェント・案件サイト・クラウドソーシング・紹介・SNS・直営業)の違いと選び方、見つからないときの見直し方をまとめます。2025年に提案5〜6件・面談2社から1か月くらいで次の案件を決めたサカイの流れつきです。
  23. フリーランスエンジニアと会社員の違い|年収400万円から独立した僕の比較フリーランスエンジニアと会社員の違いを、契約・収入・税金・社会保険・休み・働き方・信用の7つで整理します。年収400万円くらいの会社員から2016年に独立したサカイが、収入と手取りの感覚、会社がやってくれていた手続き、安定性、どっちが向いているかの分かれ目を自分の体験で比べます。
  24. フリーランスの面談の逆質問|実際にした質問と例文、面談する側から見たNGフリーランスの面談の逆質問を、実際にしてきた2つの質問と目的別・案件タイプ別の例文で整理します。面談する側から見たNG、単価や契約条件を誰にいつ聞くか、準備と当日の聞き方まで。業務委託の面談で面談する側にも入るサカイが書きます。
  25. フリーランスエンジニアの失敗7選|準備不足で困った僕が見た原因と避け方フリーランスエンジニアの失敗を7パターンに整理し、原因と避け方を書きます。2016年に独立して手続きの準備不足で困った一方、案件の間に無収入の期間は一度もなかったサカイが、踏んだものと踏まなかったものを仕分けします。
  26. フリーランスエンジニアの実務経験は何年必要?面談する側が見る年数と中身フリーランスエンジニアに必要な実務経験の年数の目安と、1〜2年・3年・5年以上で変わること、経験の数え方を書きます。2016年に経験7年ほどで独立し、深掘りされて面談に落ちたこともあるサカイが、面談する側として年数より見ていることも書きます。

この記事を書いた人

サカイ

フリーランスエンジニア

2009年に新卒でSIerに入社し、2016年にフリーランスエンジニアとして独立。.NET中心の業務系システム、金融系の案件を2016年から継続。現場では面談する側にも入っている。

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