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フリーランスエンジニア1年目のリアル|初単価50万・面談・税金で迷ったこと

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フリーランスエンジニア1年目のリアル。机の上に広げた地図と、旗から続く点線の道、封筒と電卓
目次 5項目
  1. フリーランスエンジニア1年目の単価と収入
  2. 最初の案件が決まるまで
  3. 1年目にいちばん困ったのは税金と保険の手続き
  4. 1年目は単価より信用を積む
  5. 1年目を乗り切るために先にやっておくこと

フリーランスエンジニアの1年目には、大きな山が2つあります。1つは最初の案件が決まるまでの面談で、もう1つは会社がやってくれていた税金と保険の手続きです。どちらも、会社員のときには経験しないことです。

僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年にフリーランスエンジニアとして独立しました。最初の案件は月額50万円です。独立するときの面談は2社受けて、1社に落ちています。2016年から2017年にかけては、届く書類のどれが自分に必要な支払いなのか本当に分かりませんでした。

この記事では、独立した2016年前後に僕が実際に経験したことを、単価・面談・手続き・信用の積み方の順に並べます。最後に、これから独立する人が1年目の前にやっておくとよいことをまとめました。

独立までの手順の全体は、SIerからフリーランスになるにはにまとめています。

フリーランスエンジニア1年目の単価と収入

フリーランスエンジニア1年目の収入は、最初の案件の月額単価と稼働した月数でほぼ決まります。僕の場合、2016年に独立して最初の案件は月額50万円でした。

最初の案件は月額50万円だった

2016年に独立して最初に入った案件の単価は、月額50万円です。今思うと低い単価です。それでも、もともとの収入が低かった僕にとっては、当時かなり嬉しい金額でした。

会社員だった2015年ごろの年収は、400万円くらいでした。残業はほとんどしていなかったので、月の手取りは20万円にも届いていなかったと思います。転職は考えませんでした。とにかく収入を上げたくて、フリーランスが手っ取り早いという、けっこう安易な理由で独立を決めています。

単価50万円のころの月の手取りは、感覚としては30〜40万円くらいでした。正確に計算した額ではありません。それまでが20万円以下だったので、自由に使えるお金がかなり増えたという感覚でした。

1年目の年収を見積もるときは、次の3つを分けて考えておくと数字を読み違えません。

数字中身
売上月額単価×稼働した月数。会社員の「額面の年収」と比べがちな数字
所得売上から経費を引いたもの。税金や国民健康保険料の計算のもとになる
手取り所得から税金と社会保険料を払った残り

1年目は、年の途中から稼働を始める人が多いはずです。たとえば10月から稼働すれば、その年の売上は単価の3か月分にとどまります。報酬の支払いは稼働した月の翌月や翌々月になる契約もあるので、1年目の通帳に入る額は「単価×12」よりかなり少なくなりがちです。

僕のその後の単価の推移と、売上・所得の数字はフリーランスエンジニアの年収のリアルに書いています。公開データで単価の相場を見たい方は、フリーランスエンジニアの単価相場も参考になります。

独立に必要な経験の目安

フリーランスエンジニアとして独立するのに必要な経験は、年数より「案件の必須スキルに当てはまる経験があるか」で考えるのが現実的です。案件の募集では、言語や工程ごとに「実務経験◯年以上」と書かれていることがよくあります。ただ、その年数を満たしていても、案件の中身と経験がずれていれば面談には進みにくくなります。

僕が独立したのは30歳前で、エンジニア歴は7年ほどでした。.NETで業務系システムを作ってきた経験があり、言語はC#とVB.NETが半々くらいです。会社員時代には、生保・損保など金融系の案件にも携わっていました。

いまは現場で、業務委託の面談をする側に入ることもあります。スキルシートでまず見るのは、スキルが現場に合っているかどうかです。合っていなくても、それでもいいと思える観点があれば大丈夫です。逆に、直近の経歴が数か月のものばかり続いていると不安に感じます。

資格については、僕はIT系の資格を持っていません。基本情報技術者と応用情報技術者の試験は受けましたが、どちらも不合格でした。資格が無くても、実務で困ったことはありません。ただ、資格は取れるに越したことはないと思っています。取れなかっただけ、というのが正直なところです。

年齢による違いはフリーランスエンジニアの年齢で整理しています。

最初の案件が決まるまで

フリーランスエンジニア1年目の最初の関門は、最初の案件を決める面談です。僕は退職の話を本格的に進める前にエージェントへ相談し、面談を受けて案件が決まってから退職の話を進めました。

順番を短く書くと、次のとおりです。

  1. 退職の半年ほど前に、会社へ軽く打診だけした
  2. エージェントに相談した
  3. スキルシート(経歴書)を作った
  4. 面談を受けて、最初の案件が決まった
  5. 退職の1〜2か月前くらいに、本格的に退職の話を進めた

案件が決まってから退職の話を本格的に進めたので、仕事が無いまま会社を辞める期間はありませんでした。在職中にやることの詳しい順番は、フリーランスエンジニアの準備にまとめています。

面談は2社で1社落ちた

独立するときに受けた面談は2社で、1社に落ちてもう1社に受かりました。落ちた1社では、技術面をすごく深く掘り下げられています。当時は30歳前でエンジニア歴7年ほどだったので、どれくらい戦力になるかを測られていたのだと思います。

緊張もあって的を射た回答ができず、負の連鎖でした。若干圧迫面接気味だったので、仮に受かっていても断っていたと思います。向こうからしても、微妙だと判断されたのでしょう。

落ちた面談の振り返りと、面談する側から見た落ちる理由はフリーランスの面談に落ちる理由に書きました。

受かった面談で伝えたこと

受かった面談で聞かれたのは、これまでの業務経験と技術レベルだったはずです。最初の現場は信託銀行の案件でした。会社員時代に生保・損保など金融系の案件を経験していたので、同じ金融ということで親和性があったのではないかと考えています。

そのうえで、.NET系の経験が7年ほどあること、基本的に一人称で仕事を進められることを伝えて合格しました。業務委託のエンジニアは、教育してもらう前提では呼ばれないので、一人で仕事を進められるかどうかは面談で見られやすいところです。

エージェントに出した経歴書には、業務の概要・開発システム概要・開発規模・役割・言語・使用ツール・OSといった項目を書いていたはずです。途中からは、案件ごとの「習得スキル」と「意識したこと」も書き足すようにしました。面談で聞かれることと答え方はフリーランスエンジニアの面談対策に、経歴書の項目はスキルシートの書き方にまとめています。

1年目にいちばん困ったのは税金と保険の手続き

フリーランスエンジニア1年目にいちばん困ったのは、税金と保険の手続きでした。現場の仕事のほうは、会社員時代から金融系の案件を経験していたこともあり、金融系の現場に入って戸惑ったことは特にありません。困ったのは、会社員のときは会社がやってくれていた支払いと届出のほうです。

独立1年目に届いた主な支払いと手続き。国民健康保険は退職後14日以内に届出、国民年金は退職日の翌日から14日以内に切り替え、住民税は前年の所得で決まる、確定申告は翌年2月16日〜3月15日。どれが自分に必要か、当時は分からなかった
独立1年目に届いた主な支払いと手続き

何が自分に必要な支払いか分からなかった

独立した2016年は、いろいろな書類が届いて、何が自分に必要で、どこにどんな支払いをすればいいのか本当に分かりませんでした。当時はネットで調べても、自分に当てはまる情報なのか判別できずに大変でした。会社員のときは、会社がそのあたりをやってくれていたのだと辞めてから実感しています。

困ったのは「何を払うか」より「どれが自分に必要か」でした。独立1年目に来る主な支払いと手続きを、公式の案内をもとに表にしておきます。

支払い・手続き1年目に起きること公式の案内
国民健康保険会社の健康保険を抜けたら、14日以内に住んでいる市区町村の窓口へ届け出る。保険料は市区町村から届く通知で納める厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」
国民年金厚生年金から国民年金の第1号被保険者に切り替える。退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村役場へ日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
住民税前年の所得金額に応じて課税される。給与から引かれなくなると、市区町村から届く納税通知書で年4回に分けて納める東京都主税局「個人住民税」(東京都の例)
確定申告1年分の所得を自分で計算して申告する。申告期間は原則として翌年の2月16日から3月15日まで国税庁「確定申告」

表の内容は、2026年10月6日に各公式ページで確認したものです。住民税は前年の所得で決まるので、1年目に届くのは会社員だった年の所得に対する住民税です。退職の時期によっては、最後の給与からまとめて引かれる場合もあります。

当時の僕は、こうした仕組みを知らないまま書類を受け取っていました。今ならChatGPTのような対話型のAIに聞けば、すぐ分かりそうだと思います。ただ、最後は公式の案内と窓口で確かめるのが確実です。税金と社会保険は住んでいる自治体や家族の状況で変わるので、自分の場合は市区町村の窓口・税務署・税理士などの専門家に確かめてください。

任意継続が分からず国民健康保険になった

退職後の健康保険は、任意継続がよく分からず手続きをしなかったので、国民健康保険になりました。保険料を比べたうえで選んだわけではありません。健康保険をどうするかは、辞める前に調べていませんでした。

任意継続は、会社の健康保険に退職後も最大2年間入り続けられる仕組みです。協会けんぽの場合、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることが条件で、申し出は退職日の翌日から20日以内です(協会けんぽ「任意継続」、2026年10月6日確認)。国民健康保険の届出は14日以内なので、どちらにするかを退職後に考え始めると時間がありません。

どちらの保険料が安くなるかは、前年の収入や世帯の状況で人によって違います。退職の前に、市区町村の窓口で国民健康保険の保険料の目安を聞き、任意継続の保険料と並べて比べておくのが確実です。会社の健康保険組合に入っている人は、その組合の案内も確かめてください。

確定申告で経費になるか迷ったもの

初めての確定申告で迷ったのは、スーツ代と健康診断の費用が経費になるかどうかでした。調べる前は、どちらも経費になりそうだと思っていました。僕が調べた範囲では、経費にはならないという話でした。

経費になるかどうかは、その支出が事業のために必要なものかで判断されるとされています。私生活でも使えるものは、線引きで迷いやすいところです。いまの僕は、モニター・キーボード・マウス・通信費・家賃の一部・光熱費の一部などを経費にしています。

1年目の確定申告では、青色申告にしているかどうかでも控除が変わります。国税庁の案内では、複式簿記で記帳して貸借対照表と損益計算書を期限内に出せば55万円、さらに電子帳簿保存かe-Taxでの申告をすれば65万円の青色申告特別控除が受けられます。どちらの要件にも当たらない青色申告者は10万円です(国税庁「青色申告特別控除」、2026年10月6日確認)。

何をどこまで経費にできるか、どの控除を受けられるかは個別の事情で変わります。迷ったら、税務署や税理士に確かめてください。

帳簿は1〜3か月に1回まとめて付けた

帳簿は、独立した年から1〜3か月に1回くらい、口座の情報をfreee会計に同期して仕訳していました。1年分を確定申告の前にまとめてやることはしていません。いまも同じやり方です。

青色申告の届出は間に合いました。開業届は、2016年に税務署の窓口へ出しています。わけも分からず、ネットで調べた書類に必要事項を書いて提出しました。

青色申告承認申請書は、原則として青色申告をしたい年の3月15日までに出します。1月16日以後に新しく事業を始めた場合は、事業を始めた日から2か月以内です(国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」、2026年10月6日確認)。年の途中で独立する人は、2か月の期限のほうが当てはまることが多いはずです。

1年目は単価より信用を積む

フリーランスエンジニアの1年目は、単価を上げることより、現場で信用を積むことを優先する時期だと僕は考えています。独立して最初の数年は「信用を売る期間」で、目先のお金ばかり追うのは違う、というのが本音です。

単価交渉を知らなかった最初の数年

独立して最初の数年は、単価交渉を自分から切り出すものだと知りませんでした。エージェントに任せていた、というのが実際のところです。

最初に単価が上がったのは、交渉したからではありません。クライアントが変わったタイミングで、50万円から58万円になりました。それ以降は2〜3年おきに、自分からエージェントの担当営業に「そろそろ単価アップを交渉したい」と切り出しています。単価は勝手に上がることはなく、交渉しないと上がらないものだと思っています。

数か月で終わる単発の案件をいくつもやるより、同じ案件で何年も続けているほうが業務経歴書としても見栄えが良くなります。1年目に単価を急いで上げようとするより、同じ現場で続けられる働き方をするほうが、結果としてその後の交渉の材料も増えます。切り出す時期と実績メモの作り方はフリーランスエンジニアの単価交渉にまとめました。

契約更新が当たり前ではなかった最初の頃

契約の更新は、もともと2〜3か月ごとだった気がします。いまは半年ごとです。長く続けてもらいたいと思われているからか、いつの間にか長期の契約になっていました。

最初の頃は、自分に自信もなく、継続契約が当たり前にもなっていませんでした。切られそうになったことは実際にはありません。それでも、更新のたびに漠然とした不安や落ち着かない感じはありました。

独立してから今まで、案件と案件の間で無収入になった期間は一度もありません。会社にとって必要な人材だと認められれば、案件が途切れることを心配する必要は無いと思っています。

勤怠と「与えられた仕事をこなす」を守る

信用を積むためにやることは、勤怠を守って与えられた仕事をこなすことです。勤怠が良好で与えられた仕事をこなしていれば、切られることは基本的にないと思っています。

簡単なようで、この当たり前ができない人が意外といます。僕が見聞きしてきた範囲では、短期間で切られる人には、勤怠の不正・体調を崩す・受け身になりすぎるといった何かしらの原因がありました。

1年目は特に、ここで信用を落とさないことが大事です。契約が終わる原因と、更新され続ける人の共通点はフリーランスエンジニアの契約終了に書いています。

1年目を乗り切るために先にやっておくこと

フリーランスエンジニアの1年目を乗り切るために先にやっておくことは、保険と年金の切り替えを調べること、帳簿の付け方を決めること、エージェントに相談できる状態にしておくことの3つです。1つ目は、僕が2016年に迷ったことの裏返しです。2つ目は、僕が独立した年から続けているやり方です。

迷ったことと、そこから考えた「先にやっておくこと」を並べると次のとおりです。

1年目に迷ったことと、先にやっておくこと。任意継続が分からず国民健康保険に→退職前に保険料を比べておく。届いた書類のどれが必要か分からなかった→届く手続きを先に一覧にしておく。スーツ代・健康診断が経費か迷った→迷ったら税務署・税理士に確かめる
1年目に迷ったことと、先にやっておくこと

保険と年金の切り替えを調べておく

保険と年金は、退職の前に「何を選ぶか」と「いつまでに届け出るか」を調べておきます。国民健康保険と国民年金の届出は14日以内、協会けんぽの任意継続は退職日の翌日から20日以内です。辞めてから調べ始めると、比べる時間がほとんど残りません。

あわせて、1年目に届く支払いを先に一覧にしておくと、書類が届いたときに慌てずに済みます。国民健康保険料・国民年金保険料・住民税・確定申告の4つが主なものです。住民税は前年の所得で決まるので、1年目は会社員時代の所得に対する分を自分で納めることになりやすい点も覚えておきます。

1年目に限らず起きやすい失敗の全体像はフリーランスエンジニアの失敗にまとめています。

2016年の自分に声をかけるなら、「本当になんとかなるから、そのまま突き進め」と言うと思います。実際、結果的にはなんとかなりました。ただ、手続きの準備が十分でなかったのは失敗です。保険・年金・開業届の期限と公式の案内は、フリーランスエンジニアの準備に表でまとめています。

帳簿の付け方を決めておく

帳簿は、会計ソフトと付ける間隔を最初に決めておくと続きます。確定申告の前に1年分をまとめて付けようとすると、領収書や明細を探すだけで時間がかかります。事業用の口座とカードを生活用と分けておくと、同期したあとの仕訳も楽になります。

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エージェントに相談できる状態にしておく

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フリーランスエンジニアの1年目は、最初の案件と手続きの2つで迷いやすい時期です。僕の場合、案件は在職中に決められた一方で、手続きは準備不足のまま1年目を迎えました。案件探しと同じくらい、手続きを調べる時間もとっておくのがおすすめです。

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この記事を書いた人

サカイ

フリーランスエンジニア

2009年に新卒でSIerに入社し、2016年にフリーランスエンジニアとして独立。.NET中心の業務系システム、金融系の案件を2016年から継続。現場では面談する側にも入っている。

プロフィールを詳しく見る

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