社内SEからフリーランスへ|情シスの仕事を業務委託で受ける働き方と単価
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社内SE(情シス)の仕事は、フリーランスでも業務委託で受けられます。案件として多いのは、要件定義やベンダーとの調整のような上流の仕事・PMO・社内システムの運用保守です。
書いている僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年にフリーランスエンジニアとして独立しました。.NETを中心に業務系システムを作ってきて、2025年4月からはフリーランスのまま情報システム部門(情シス)の立場で働いています。担当は要件定義からベンダーコントロール・受入テスト・リリースまでです。
先にお伝えしておくと、僕は会社員として社内SEをしたことはありません。この記事は「フリーランスとして情シスの立場に入っている人間」と「現場で面談する側に入ることもある人間」の目線で書いています。社員の社内SEとの違い・求められるスキル・単価と働き方・案件への入り方を順にまとめます。
社内SEの案件を探すエージェントをまだ決めていない方は、先にフリーランスエンジニアのエージェントの選び方を読んでおくとこの記事の後半がつながりやすくなります。
社内SEの仕事はフリーランスでも受けられる
社内SEの仕事は、フリーランスでも業務委託の案件として受けられます。エージェントの案件一覧を見ると、社内SEや情シスの名前がついた案件は珍しくありません。
たとえばフリーランス向けエージェントのテクフリでは、社内SEの案件ページに173件の案件が載っていました(2026年10月1日確認)。業務内容には次のようなものが並んでいます。
- 社内システムや各種ITツールの導入・管理
- 社内各部門からの要望のヒアリングと課題の抽出
- ネットワーク・セキュリティポリシー・デバイスの管理と運用
- 外部ベンダーとの折衝・進行管理
- 社内の問い合わせ(ヘルプデスク)の2次対応
- クラウドサービスの導入・運用
同じくエージェントのMidworksには「情シス系PMO」という職種の分類があります。こちらはプロジェクトや課題の管理・ベンダーや関係部門との調整・要件定義のような仕事が中心です。
社内SEの案件と一口に言っても、中身はかなり幅があります。上流の調整役から、インフラの運用やヘルプデスクまで並んでいるのが実情です。
企業が情シスの仕事を業務委託に出す理由
企業が情シスの仕事を業務委託に出すのは、必要な時期に必要な経験を持つ人を早く確保したいからだと一般に言われます。理由として挙げられることが多いのは次のような点です。
- プロジェクトに山がある:システムの入れ替えや新しいツールの導入は、数か月から数年の期間で人が要る。終わったあとまで社員として抱えるより、期間を区切って頼みたい
- 社内にいない経験が要る:要件定義やベンダー管理、特定のクラウドの経験を持つ人が社内にいない
- 採用に時間がかかる:社員のIT人材は採用に時間がかかり、プロジェクトの開始に間に合わないことがある
- DXや内製化を進めたい:外部のベンダーに任せきりにせず、社内側で判断できる人を置きたい
発注する企業の側から見ると、フリーランスは「期間と役割を決めて頼める即戦力」です。だからこそ面談では、最初から何ができるかを見られます。
僕は2025年4月から情シスの立場で働いている
僕は2025年4月から、フリーランスとして情シスの立場で働いています。大きなシステムはベンダーに開発を任せています。僕はその要件定義からベンダーコントロール・受入テスト・リリースまでを担当しています。
この案件を選んだのは、上流工程の経験を増やしたかったからです。2016年に独立してから、僕の仕事は開発が中心でした。2016年から続けている金融系の開発の仕事とは別に、2024年からはもう1つの案件を持つようになりました。その2本目の案件で、上流の仕事を取りにいったのです。
2025年4月に2本目の案件が切り替わったときは、エージェントから5〜6件の提案がありました。そのうち2社と面談して、どちらも合格しました。決まるまでは1か月くらいでした。
発注側に回ってみると、思っていたより大変でした。指示するだけで楽だと思っていましたが、実際はユーザーとベンダーの中間に立って調整する役回りです。

社員の社内SEとフリーランスの違い
社員の社内SEとフリーランスの社内SEの違いは、雇用されているか業務委託で入っているかです。仕事の中身が似ていても、契約・責任の範囲・安定・裁量・社内との距離が変わります。

契約と責任の範囲
フリーランスの社内SEは、契約で決めた範囲の仕事を引き受けます。社員のように「情シスの仕事全般」を任されるわけではありません。
業務委託の契約では、何をどこまでやるかを最初に決めます。社員なら異動や担当替えで仕事の範囲が変わりますが、フリーランスは契約の範囲が仕事の範囲です。範囲を変えるなら、契約の条件を話し合うのが一般的です。
発注する側の義務も法律で定められています。2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、発注事業者に取引条件の明示や期日どおりの報酬の支払いなどを義務づけています(公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」)。
契約は一定の期間ごとに更新されます。僕が2020年から続けている金融系の案件では、最初は2〜3か月ごとの更新だった気がします。今は半年ごとです。長く続けてもらいたいと思われているからか、いつの間にか長期の契約になっていました。
契約を切られそうでヒヤッとしたことは、これまでありません。勤怠を守って与えられた仕事をこなしていれば、切られることは基本ないと僕は思っています。簡単に聞こえますが、この当たり前ができない人は意外といます。契約が続く人と切られる人の違いはフリーランスエンジニアの契約終了にまとめました。
安定と裁量のどちらを取るか
社員の社内SEは安定を取りやすく、フリーランスの社内SEは裁量を取りやすい働き方です。どちらが上ということではありません。
フリーランスは不安定だと思われがちです。ただ、僕は2016年に独立してから案件と案件の間で無収入になったことが一度もありません。会社にとって必要な人材だと認められれば、案件が途切れる心配はそれほどないと思っています。
仕事で関わる人から「サカイさん、うちの会社入っちゃえばいいのに」と何度か言われたことがあります。業務委託先の信用を勝ち取れば、その企業に就職することも十分できると思います。
ただ、僕自身は社員になることは一切考えていません。その場では「ありがとうございます」と流しています。
それでも、仮にどうしても食い扶持が無くなっても、行く当てがあるのは精神衛生上いいと思っています。
「フリーランスになると会社員に戻れない」と言う人もいますが、僕は全然そうは思いません。業務委託で即戦力を期待されて期待どおりかそれ以上の仕事をしている人なら、会社員に戻っても高いパフォーマンスを出すと思います。
むしろ、「しょうがないから会社員」「しょうがないからフリーランス」のように妥協してキャリアを選んでいる人は、働き方に関係なくうまくいかないと思います。
社内の人間関係との距離
フリーランスの社内SEは、社内の一員でありながら一歩引いた立場に立ちます。社員の評価制度や人事異動の外にいるので、社内の事情から少し距離を置いて仕事ができます。
一方で、社内の情報は社員ほど自然には入ってきません。背景や経緯は自分から聞きにいく必要があります。社員との線引きを意識しつつ、必要な情報を取りにいく動き方が求められます。
社内SEは、社内のユーザーと直接やりとりする場面が多い仕事です。僕は以前、いつもすごく怒っているユーザーとやりとりしたこともありました。その経験もあって、受注側・発注側のどちらの立場でも感情的にならずに仕事をしようと思っています。
フリーランスの社内SEに求められるスキル
フリーランスの社内SEに求められるのは、「要件定義とベンダーコントロール」「受入テストと業務の理解」「社内の調整と説明」の3つです。どれも「作る」より「決める」「確かめる」「伝える」に寄ったスキルです。
要件定義とベンダーコントロール
要件定義は、社内の要望を整理してシステムで何を実現するかを決める工程です。ベンダーコントロールは、開発を任せたベンダーの進捗・品質・費用を見ながらプロジェクトを前に進める仕事です。
情シスの立場では、この2つを発注側として担います。要望をそのまま渡すと、ベンダーは何を作ればいいか判断できません。決めるべきことを決めて、ベンダーが動ける形にして渡すのが情シスの役目です。
僕はキャリアの初めがSIerで、ベンダー側でした。そのため発注側と受注側のどちらの目線にも立てるのは良かったと感じています。
一般に、SIer出身の人はここが強みになりやすいと言われます。受注側として要件を受け取った経験があると、ベンダーがどんな情報を必要とするかを想像しやすいからです。
受入テストと業務の理解
受入テストは、ベンダーが作ったものが業務で使えるかを発注側が確かめる工程です。仕様どおりに動くかだけでなく、実際の業務の流れで困らないかを見ます。
受入テストで効くのは、業務の理解です。どんな操作の順番で使われるのか。例外的なケースは何か。月末や年度末にだけ発生する処理はあるか。業務を知らないと、確かめるべきパターンを洗い出せません。
開発の経験も役に立ちます。どこに不具合が出やすいかが分かると、テストの観点を絞り込みやすくなります。修正の内容を読んで、影響しそうな範囲に当たりを付けることもできます。
社内の調整と説明
社内の調整と説明は、フリーランスの社内SEがいちばん頼られるところです。ユーザーとベンダーの間に立ち、それぞれに伝わる言葉で話を通します。
僕が大切だと感じているのは、ユーザーの要望をただ横流しせずにベンダーが仕事をしやすいように翻訳することです。
僕は現場で面談する側に入ることもあります。そのとき、質問と答えがかみ合っていない人は、仕事がしにくそうだと感じます。逆に受け答えがしっかりしている人は、安心して任せられそうだと感じます。社内とベンダーの間で話を通す仕事なので、面談での受け答えはそのまま見られていると考えておくと安心です。
業務的なことだけでなく、ハキハキ話していたり明るい雰囲気を感じたりすると個人的には良いと思います。
フリーランス社内SE案件の単価と働き方
フリーランスの社内SE案件の単価は、公開データの一例では平均が月69.1万円です。ただし幅が大きく、任される範囲によって大きく変わります。働き方はリモート可の案件が3割弱で、常駐の案件のほうが多めです。稼働は週5日の案件のほか、週3〜4日の案件もあります。
単価の目安(公開データ)
テクフリの社内SEの案件ページでは、掲載されている案件の単価が次のとおりでした(2026年10月1日確認)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 掲載案件数 | 173件 |
| 平均単価 | 69.1万円 |
| 最高単価 | 121.0万円 |
| 最低単価 | 27.5万円 |
出典:テクフリ「社内SEの案件・求人情報」。数値は掲載中の案件をもとにしたもので、日々変わります。
最低と最高で4倍以上の差があります。この差は、案件の中身の差だと読むのが自然です。同じ社内SEでも、問い合わせ対応が中心の案件と要件定義やベンダー管理まで任される案件では単価が違います。
公開データを読むときは、次の点に気をつけてください。
- 募集の単価か契約の単価か:エージェントが公開しているのは募集時の数字。実際の契約額は面談や条件の調整で決まる
- 1社の数字であること:扱う案件の種類が違えば平均も変わる。複数のエージェントで見比べるほうが安全
- 稼働の前提:月140〜180時間のような精算幅がある案件と、週3日の案件では同じ単価でも意味が変わる
相場の見方と自分の適正単価の考え方はフリーランスエンジニアの単価相場で、僕自身の単価の推移はフリーランスエンジニアの年収のリアルで書いています。単価は交渉しないと上がらないので、上げ方はフリーランスエンジニアの単価交渉を参考にしてください。
リモートと常駐
社内SEの案件は、社内の人やモノに近い仕事なので常駐の案件が多めです。テクフリの社内SEの案件ページでは、173件のうちリモート可の案件は48件でした(2026年10月1日確認)。
PCの手配・ネットワークの管理・ヘルプデスクのように、現場にいないとできない仕事があるからです。反対に、要件定義やベンダー管理のような調整の仕事はオンライン会議でも進めやすい傾向があります。
現場によっては、セキュリティの制約から社外での作業が認められないこともあります。リモートを希望するなら、案件の条件だけでなく、どの作業を現地でする必要があるかも面談で確かめておくと安心です。
僕自身は2020年のコロナ禍をきっかけにフルリモートになり、今も続いています。通勤が消えたのは間違いありません。ただ、良くも悪くも自己責任の範囲が広がりました。自分の裁量で仕事ができる反面、自己管理ができないとフルリモートはできません。
「フルリモート最高、みんなやったほうがいい」とは全然思いません。合う人には合いますが、合わない人は絶対やめたほうがいいと思います。
リモート案件の割合や探し方はフリーランスエンジニアのリモート案件にまとめています。
週の稼働日数
フリーランスの社内SE案件には、週5日のフルタイムで入る案件のほか、週3〜4日の案件もあります。テクフリの案件検索では、稼働日数を週1日から週5日で絞り込めます。週5日の案件では、月140〜180時間のような精算幅を決めて、その範囲で単価を払う契約がよく見られます。
社内SEの仕事は、社内からの問い合わせや会議に合わせて動くことが多くなります。そのため稼働日数が少ない案件では、任される役割が区切られていることが一般的です。
週3〜4日で働きたいなら、その希望を最初にエージェントへ伝えておくと条件に合う案件を絞り込んでもらいやすくなります。
社内SEの案件に入るには
社内SEの案件に入るには、開発の経験をもとに上流工程へ仕事を広げていくのが現実的です。いきなり上流の案件だけを狙うより、今の経験を上流につなげる順番で考えると入りやすくなります。
開発経験から上流工程に広げる
開発の経験は、社内SEの案件でも土台になります。ベンダーが作るものを理解できるからです。
僕が使ってきた言語は、C#とVB.NETが半々くらいです。Windowsフォームのアプリ・Webサイト・コンソールアプリなど、業務系のシステムをたくさん作ってきました。開発の経験があると、ベンダーの修正内容を読んだり受入テストの観点を考えたりしやすくなります。
上流の経験を足すときは、今の現場で少しずつ範囲を広げるのも一つの方法です。開発をしながら、仕様の確認や顧客との打ち合わせに加わる機会を増やしていくイメージです。
経歴書の見え方も大切です。面談する側から見ると、直近の経歴が数か月の案件ばかり続いていると不安に感じます。同じ案件で長く続けてきた経歴のほうが、信用として伝わりやすいです。経歴書の書き方はスキルシートの書き方にまとめています。
上流工程の案件の種類や広げ方はフリーランスエンジニアの上流工程で詳しく書いています。
ローコード(Power Platform)の案件という入口
ローコードの開発案件も、社内SEの仕事に近づく入り口になります。社内の業務を、社内向けのツールで改善する仕事だからです。
僕は2024年から官公庁の案件に入り、Microsoft Power Platformで申請アプリを作っていました。この案件を受けたのも、上流工程やリーダーの経験をしたかったからです。
使ってみた感想は次のとおりです。
- 簡単に画面が作れる反面、シンプルな機能しかできない。リッチな画面が欲しければ、スクラッチ開発でないと難しい
- 一通り開発の流れを把握すれば、Excelのエクスポートとインポートで画面が作れる。似たような画面を大量に作る場合に向いている
- 細かい要望があっても、最初にPower Platformで開発すると合意しているので「Power Platformの仕様でできないです」が通る
最後の点は、上流の仕事にもつながる話です。何で作るかを最初に合意しておくと、あとから出てくる要望を整理しやすくなります。
エージェントで社内SE案件を探す
社内SEの案件は、フリーランス向けのエージェントで探すのが近道です。案件一覧では見えない役割や現場の雰囲気も、担当者に聞けば分かります。
僕は2016年から1社のエージェントだけを使っています。案件が途切れず担当とのやり取りも楽で、不満が無かったからです。ただ、つてが無いならまずは複数に登録するのが良いと思っています。案件もエージェントも、比べるから良し悪しが分かります。複数登録の考え方はフリーランスエンジニアのエージェントは複数登録すべきかに書きました。
これから社内SEの立場で独立を考えている会社員の方なら、Midworksのように独立前の相談を受け付けているエージェントがあります。僕自身はこのサービスを使っていないので、使い心地は書けません。公式サイトで確認できた内容は次のとおりです(2026年10月1日確認)。
- 「初めてフリーランスを検討される方へ」という案内があり、会社員からの独立を考える人も相談できる
- 案件情報の閲覧・登録・コンサルタントへの相談・参画・その後のフォローまで、利用料はかからない
- 「情シス系PMO」という職種の分類で案件を探せる
- 案件が切れたときに報酬を保障する仕組みがある(審査に通過するなど一定の条件あり)
- 交通費や書籍・勉強会費用の支給などの福利厚生がある(利用にはパッケージプランへの加入が必要)
条件の細かいところは変わることがあるので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
情シス・社内SEの案件を相談したい方へPR
Midworksは、僕自身は使ったことがありません。このページからのご案内の対象は、エンジニアの経験があり、関東(東京・千葉・神奈川・埼玉)・関西(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・三重)・愛知・福岡で働く21〜59歳の方です。利用料は無料です。報酬の保障や福利厚生には条件があるため、公式サイトで確認してください(条件は2026年10月2日に確認)。
エージェントの比べ方はフリーランスエンジニアのエージェントの選び方で詳しく整理しています。面談で何を見られるかはフリーランスエンジニアの面談対策にまとめました。
独立までの全体の流れはSIerからフリーランスになるにはで書いています。
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