転職
SIerからの転職先と進め方|社内SE・コンサル・独立を元SIerが比較
PR本ページはプロモーション(広告)を含みます。

目次 7項目
SIerからの転職先は、大きく分けると社内SE・ITコンサル・大手やプライムのSIer・Web系の自社開発企業の4つです。転職ではなく、フリーランスとして独立する道もあります。どこが合うかは、SIerで何を積んできたかと次に何を伸ばしたいかで決まります。
僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年まで在籍しました。転職はしておらず、2016年に会社を辞めてフリーランスのエンジニアとして独立しています。いまは金融系の現場で働きながら、もう1つの現場では情シス(発注側)の立場で要件定義からベンダーコントロール・受入テストまでを担当しています。
先に正直に書いておくと、僕は転職エージェントを使って転職活動をしたことがありません。この記事で書けるのは3つです。業務委託のエンジニアを受け入れる面談で面談する側に入っている立場、発注側から見たSIer出身者の強み、そして転職せずに独立した人間から見た比較です。転職活動の一般的な進め方は、公的な統計や公式の情報をもとに整理します。
「SIerはやめとけ」と言われる理由と、在籍していた僕の答えはSIerはやめとけと言われる理由にまとめています。辞めるかどうか迷っている段階なら、先に読んでおくと判断の材料になります。
求人票に出てくる「社内SE」「上流工程」「ベンダーコントロール」などの言葉は、SIer用語集で意味を確かめられます。
SIerからの転職先は社内SE・コンサル・大手SIer・Web系の4つ
SIerからの転職先としてよく挙がるのは、事業会社の社内SE・ITコンサルタント・大手やプライムのSIer・Web系の自社開発企業の4つです。どれもSIerで積んだ経験の一部をそのまま使えますが、立場と仕事の中身はかなり違います。
転職そのものは、いまの日本では珍しいことではありません。総務省統計局の労働力調査(詳細集計)2025年平均結果の要約では、2025年平均の転職者数は330万人でした。前年より1万人少なく、4年ぶりの減少です。一方で、ほかの仕事に変わりたい人などを含む転職等希望者数は1023万人です。前年より23万人増えています。
僕が新卒で入った2009年ごろは、今ほど転職が当たり前ではなかった気がします。それなりに長く勤めるのが正解とされていた空気がありました。いまは転職を考えること自体が特別ではありません。大事なのは、どこへ移るかを自分の経験と照らして選ぶことです。
事業会社の社内SE
社内SEは、事業会社の情報システム部門で自社のシステムを企画・管理する仕事です。SIerが受注側なら、社内SEは発注側に回ります。
仕事の中心は3つです。社内のユーザーの要望をまとめること。ベンダー(SIer)に開発を依頼して管理すること。できあがったシステムを受け入れて運用することです。自分でコードを書く量は、会社によってかなり違います。内製でサブシステムを作る会社もあれば、ほぼすべてをベンダーに任せる会社もあります。
僕はいま、業務委託として情シスの立場で働いています。発注側はただ指示するだけで楽だと思っていましたが、実際には思っていたより大変です。ベンダーが出してきた修正の受入テストは、業務の観点でパターンをかなり洗い出してガッツリやっています。社内SEを「楽そうだから」で選ぶと、入ってから想像との差に戸惑うかもしれません。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、顧客の経営や業務の課題を整理してシステムで何を解決するかを提案する仕事です。SIerよりさらに上流、システムを作る前の段階を担当します。
求められるのは、課題を構造にして説明する力と要件定義や業務設計の経験です。SIerで顧客と直接話しながら要件を決めてきた人は、その経験が評価の軸になります。一方で資料作りや説明の比重が大きく、手を動かして作る仕事からは離れることが一般的です。
大手・プライムのSIer
大手・プライムのSIerへの転職は、より上流の工程を任される会社に同じSIerの中で移る道です。プライムとは、顧客から直接仕事を受ける元請けのことを指します。
二次請け・三次請けの会社にいると、要件定義や基本設計は元請けが持っていることがよくあります。自分たちが担当するのは詳細設計から先です。元請けに移れば、顧客と向き合う工程が増えるのが一般的です。仕事の進め方や用語は今のSIerと近いので、4つの中では環境の変化が一番小さい転職先と言えます。
商流(仕事が流れてくる会社の並び)は、フリーランスになった今でも気になるところです。僕は商流が深いと間でムダにマージンがかかっていると思ってしまうので、できれば浅いに越したことはないと考えています。
Web系・自社開発の会社
Web系・自社開発の会社は、自社のWebサービスやアプリを開発・運用する会社です。受託ではなく、自社の事業のためにシステムを作ります。
モダンな言語やクラウドの技術を使うことが多く、開発のスピードも速い傾向があります。コードを書き続けたい人や、新しい技術に触れたい人には近い環境です。ただSIerで業務系システムを作ってきた人にとっては、使う技術も進め方も変わる部分が大きくなります。自分の経験のどこが活きるかを、応募の前に整理しておく必要があります。
転職せずに独立するという選択
SIerを辞める道は、転職だけではありません。フリーランスとして独立し、案件ごとに業務委託で契約する働き方もあります。
僕はこの道を選びました。独立しても仕事の中身は大きく変わりません。企業の業務システムを作ったり保守したりする仕事を、会社員ではなく個人として請け負っています。変わるのは仕事の取り方と契約の形、それから税金や社会保険の手続きを自分でやることです。転職と独立のどちらが近いかはSIerキャリア診断(約2分)で確かめられ、独立の手順と単価はSIerからフリーランスになるにはにまとめています。

SIerからの転職で評価される経験
SIerからの転職で評価されやすい経験は、「上流工程・PMの経験」「業務知識」「調整とベンダーコントロールの経験」の3つです。言語やツールの経験はもちろん見られますが、SIer出身者の強みはむしろこの3つに出ます。
いま僕は発注側に立って、ユーザーとベンダーの間で双方の言葉を「翻訳」する役割をしています。その立場から見ても、SIerで受注側を経験してきたことは良かったと感じています。
上流工程・PMの経験
上流工程とPMの経験は、どの転職先でも評価されやすい経験です。要件定義や基本設計を自分で担当したか、チームを率いてプロジェクトを進めたか。この2点は、職務経歴書でも面接でも必ずと言っていいほど見られます。
ここで大事なのは、「参加した」と「担当した」を分けて書くことです。要件定義の会議に出ていただけなのか、顧客の話を聞いて要件を文書にまとめたのか。読む側にとっては、まったく違う経験です。リーダーの経験も、何人のチームで何を決める立場だったかまで書くと伝わりやすくなります。
僕が2024年から別の現場を始めたのも、上流工程やリーダーの経験をしたかったからでした。いまは発注側で要件定義からベンダーコントロール、受入テスト〜リリースまでを担当しています。上流の経験は、担当の希望を伝えたり現場を選んだりして自分から取りにいくのも一つの方法です。
業務知識(金融・公共など)
金融・公共・製造など特定の業界の業務知識は、SIer出身者ならではの強みです。業務の言葉が通じる人は、仕様の理解にかかる時間が短くて済みます。
僕は会社員時代に、生保・損保といった金融系の案件に携わっていました。2016年に独立して最初に入ったのは、同じ金融の信託銀行の現場です。同じ金融という領域で親和性があったのではないかと考えています。金融系の現場には、2016年からずっと携わっています。
社内SEへの転職なら、同じ業界の事業会社を選ぶと業務知識が直接活きます。ITコンサルでも、得意な業界があることは提案の説得力につながります。職務経歴書には、言語や工程と並べて「どの業界のどんな業務のシステムか」を書いておくのが基本です。
調整力とベンダーコントロールの経験
顧客や協力会社との調整とベンダーコントロールの経験は、特に社内SEとITコンサルで評価されやすい経験です。SIerでは年次が上がるほど調整の仕事が増えるので、本人が思っている以上に経験が積み上がっていることがよくあります。
発注側に回ってみて分かったのは、発注側の仕事がユーザーとベンダーの間に立つ中間管理職のようなポジションだということです。ユーザーの要望をベンダーへ、ベンダーの説明をユーザーへ。どちら向きもただ横流しせず、相手が仕事をしやすいように翻訳するのが大切だと思っています。
キャリアの初めはベンダー側だったので、発注側と受注側のどちらの目線にも立てるのは良かったと感じています。これまでに、いつもすごく怒っているユーザーとやり取りしたこともありました。だからこそ受発注どちらの立場でも、感情的にならずに仕事をしようと心がけています。こうした経験は、社内SEの面接でも具体的な場面として話せる材料になるはずです。
年代別に見るSIerからの転職
SIerからの転職で求められるものは、年代によって変わります。20代は伸びしろと基礎。30代は専門と立場。35歳を超えると、さらに「任せられる範囲」が問われるのが一般的です。
僕自身、35歳くらいまでは何となく若手っぽい扱いをされていた感覚がありました。35を超えてから、自分の感覚も周りから求められるものも明らかに変わったように感じます。これは転職ではなくフリーランスとしての実感です。転職の場面でも、年代によって求められるものが変わるとよく言われます。
| 年代 | 主に見られること | 準備しておきたいこと |
|---|---|---|
| 20代 | 伸びしろ、基礎的な開発経験、学ぶ姿勢 | 担当した工程と、自分で調べて解決した経験を整理する |
| 30代 | 専門分野、リーダーや上流工程の経験 | 「何の専門か」「どんな立場で動いたか」を1文で言えるようにする |
| 35歳以降 | 任せられる範囲、マネジメントや専門性の深さ | 成果を数字や役割で示し、即戦力として何ができるかを具体的にする |
20代:ポテンシャルと基礎
20代のSIerエンジニアは、選べる転職先が一番広い年代です。実務経験がまだ浅くても、基礎的な開発経験と伸びしろが評価されやすいからです。
この年代では、SIerで身につけた基礎が武器になります。設計書を読んで作る。レビューを受けて直す。手順に沿ってテストする。どれも当たり前に見えますが、業務システムの開発をきちんと経験してきた証拠です。Web系の自社開発企業のように技術が大きく変わる転職先に挑戦しやすいのも、20代のうちと言われることが多いです。
30代:専門と立場
30代のSIerからの転職では、「何の専門か」と「どんな立場で動いてきたか」がはっきり問われます。経験年数が長い分、何でもできますという伝え方ではかえって強みが見えにくくなります。
専門は、技術でも業務でもかまいません。「.NETで金融系の業務システムを作ってきた」「公共系の要件定義をリードしてきた」のように、技術・業界・工程を組み合わせて1文で言えると伝わりやすくなります。リーダーやサブリーダーとして何人のチームで何を任されていたかも、30代では重要な判断材料です。
35歳を超えてから
35歳を超えてからの転職は、「即戦力として何を任せられるか」が中心になるのが一般的です。若手と同じ土俵ではなく、経験の深さで比べられます。
35歳を過ぎてから、僕は年上の人からも軽く扱われていないと感じることが増えました。お客さんからもチームの中でも、「プロ」として接されているように感じます。能力がある前提で仕事を任されることもしばしばで、それが首を絞めることもたまにあります。裏を返せば、この年代は任された範囲を自分で回せることを具体的な実績で示せるかが問われるということです。
転職市場では「35歳を過ぎると転職が難しくなる」と言われることもあります。ただマネジメントや専門性の経験を求める求人では、年齢よりも経験の中身が問われます。経験を言葉にできているかどうかで差がつきやすい年代です。
転職を決める前に整理しておくこと
SIerからの転職を決める前に整理しておきたいのは、「辞めたい理由」「転職以外の選択肢との比較」「やめとけと言われる理由」の3つです。ここを飛ばして動き始めると、移った先でも同じ不満を抱えることになりかねません。
将来への漠然とした不安は、いまの延長にある自分の将来が上司の姿を通して見えてしまうことから来るのだと僕は感じています。その未来が理想どおりならそのまま進めばいいし、違うなら別の会社・別の業界・別の働き方を探す必要があります。
辞めたい理由を言葉にする
最初にやることは、辞めたい理由を言葉にすることです。年収・働き方・技術・人間関係・将来性。理由によって、選ぶべき転職先が変わるからです。
たとえば理由が「年収」なら、元請けへの転職やITコンサルや独立が候補になります。「残業や常駐などの働き方」なら、社内SEや自社開発の会社が近いかもしれません。「コードを書き続けたい」なら、Web系の自社開発企業が合う可能性があります。理由をいくつか書き出して一番譲れないものに順位をつけておくと、求人を見るときに迷いにくくなります。
僕の場合は、とにかく収入を上げたいという理由でした。
転職・社内異動・独立を並べて比べる
辞めたい理由が言葉になったら、転職・社内異動・独立の3つを並べて比べます。転職だけを前提にすると、もっと合う道を見落とすことがあります。
| 選択肢 | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 転職 | 会社員のまま、環境や役割を変えたい人 | 移った先の社風や進め方は、入ってみないと分からない部分が残る |
| 社内異動 | 今の会社に大きな不満はなく、担当や部署を変えたい人 | 希望が通るとは限らず、時期も会社の都合に左右される |
| 独立(フリーランス) | 一人称で仕事を進められ、収入を上げたい人 | 税金や社会保険の手続きを自分でやり、収入の波を引き受ける |
社内異動は見落とされがちです。上流工程の部署や別の業界の担当に移れるなら、転職と同じくらい環境が変わることもあります。今の会社で経験を積んでから動くほうが、選べる転職先が増える場合もあります。
「やめとけ」と言われる理由も確かめる
SIerについては「やめとけ」という声もよく見かけます。長時間労働・客先常駐・古い技術・調整ばかり・多重下請け・年収の上がりにくさといった理由です。
ただ、そのどれが当てはまるかは会社と自分の立場で大きく変わります。僕は残業がほぼなく、常駐していたのも合計で半年〜1年くらいでした。それでも辞めています。「やめとけ」の理由が自分の会社にどれくらい当てはまるかを確かめると、辞めるべきなのか会社を選び直せばいいのかが見えてきます。
6つの理由とやめとけに当てはまらないSIerの見分け方は、SIerはやめとけと言われる理由で詳しく書いています。
SIerからの転職を進める手順
SIerからの転職は、「経験の棚卸し → 職務経歴書 → 転職エージェントへの相談 → 応募と面接 → 内定後に退職を伝える」の順に進めるのが一般的です。在職中に進めておくと、収入が途切れる期間を作らずに済みます。

経験の棚卸しと職務経歴書
最初の作業は、これまでのプロジェクトを1つずつ書き出す棚卸しです。棚卸しした内容が、そのまま職務経歴書の元になります。
プロジェクトごとに、次のような項目を書き出すのが一般的です。
- 業務の概要(どんな業界の、どんな業務のシステムか)
- 開発規模と、チームの中での役割
- 担当した工程(要件定義・設計・実装・テスト・保守など)
- 使った言語・ツール・OS
- そのプロジェクトで身についたことと、意識したこと
僕がフリーランスとしてエージェントに出してきた経歴書も、業務の概要・開発システム概要・開発規模・役割・言語・使用ツール・OSあたりを書いていたはずです。途中から、その案件での「習得スキル」と「意識したこと」も書くようにしました。面談でもただ業務経歴を説明するだけでなく、自分が意識したことを話すようになりました。それは案件獲得にプラスになっていると思います。転職の職務経歴書でも経歴の羅列に「何を考えて動いたか」を足すと、読む側に人柄と仕事の進め方が伝わりやすくなります。
SIerでは、評価面談のために自己評価シートを書く会社が多いはずです。僕も在籍中は書いていました。若手のレビューを引き受けたことや担当サブシステムの障害件数が下がったことを書いたこともあります。こうした記録は、棚卸しの材料としてそのまま使えます。
転職エージェントの選び方
在職中に転職を進めるなら、IT業界に強い転職エージェントに相談するのが現実的な入口です。求人の紹介だけでなく書類の添削や面接の日程調整・年収の交渉まで任せられるので、平日の昼に時間を取りにくい会社員でも進めやすくなります。
選ぶときに見ておきたいのは、次のような点です。
- IT・エンジニアの求人に特化しているか、総合型か
- 自分の経験(業界・言語・工程)に合う求人を扱っているか
- 担当者がSIerの仕事や技術の話を理解しているか
- 書類の添削や面接対策など、どこまでサポートしてくれるか
1社だけで決めずに、2〜3社に話を聞いて比べるのが一般的です。比べることで、求人の幅も担当者の質も見えてきます。
僕はフリーランスとして2016年からエージェントを1社だけ使ってきました。ただ、それは今のままで不満が無かった僕の場合の話です。複数に登録して自分の市場価値を知るのは大事で、つてが無いならまずは複数に登録するのが良いと思っています。案件もエージェントも、複数を比べるから良し悪しが分かるからです。
ITエンジニア向けの転職エージェントの1つに、レバテック株式会社が運営するレバテックキャリアがあります。公式サイトで確かめたことは次のとおりです(2026年10月3日確認)。
- ITエンジニアに特化した転職サービスで、登録は無料
- カウンセリングは電話・オンラインでも受けられる
- 求人の紹介に加えて、書類の添削や企業ごとの面接対策もサポートしている
- 内定後は、年収の交渉や入社日の調整もしてもらえる
SIerからの転職先を比べたい方へPR
レバテックキャリアは、僕自身は使ったことがありません。このページからのご案内の対象は、エンジニアとして働いた経験がある方です。エンジニアの経験がない方・50代以上の方・サービスの対象エリア外の方は、紹介できる求人が無くサポートを受けられないことがあります。
サービスの内容は2026年10月3日に公式サイトで確認したものです。最新の情報は公式サイトで確かめてください。
面接で聞かれることの準備
面接で聞かれることは、「転職理由」「これまでの経験」「転職先で何をしたいか」の3つが中心になるのが一般的です。SIer出身者の場合は、上流工程やリーダーの経験を具体的に聞かれることも多いでしょう。
僕は正社員の採用面接に関わったことはありません。ここで書けるのは、業務委託のエンジニアを受け入れる面談で面談する側に入ったときに感じることです。その前提で読んでください。
面談する側に回ると、質問と答えがかみ合っていない人は一緒に仕事がしにくそうだと感じます。逆に、受け答えがしっかりしている人は安心して任せられそうです。直近の経歴が数か月のものばかり続いていると、不安に感じることもあります。ハキハキ話していたり明るい雰囲気を感じたりすると、個人的には良い印象を持ちます。
最後の逆質問も、準備しておきたいところです。僕がフリーランスとして面談を受ける側のときは、「現場で私に求められている役割はどういうことがありますか?」と聞いたり、業務内容を聞いたあとに「〇〇ということで理解合ってますか?」と確かめたりしてきました。お金に関することばかりの質問はやめたほうがいいですし、質問なしも基本的にはおすすめしません。興味が無いと思われかねないので、絞り出してでも1つは聞いたほうがいいと思います。
転職せずに独立した僕から見た比較
転職せずに独立した立場から見ると、SIerからの転職と独立はどちらが上という関係ではありません。収入の決まり方と引き受けるものが違う、別の道です。
2016年に転職ではなく独立を選んだ
僕は2016年に、転職ではなく独立を選びました。転職は考えませんでした。とにかく収入を上げたかったので、フリーランスが手っ取り早いという、けっこう安易な理由で決めています。
会社員だった2015年ごろの年収は400万円くらいでした。独立して最初の案件は月額50万円でした。今思うと低い単価ですが、もともとが低かったので当時はかなり嬉しかったのを覚えています。2024年からは、2つの案件を合わせて月額120万円です。
独立しても、仕事の中身は企業の業務システムを作ったり保守したりする仕事のままでした。言語も、SIerにいた2009年から続けている.NETのままです(これまでを通してC#とVB.NETが半々くらい)。最初の案件が決まった面談では、.NETの経験が7年ほどあり基本的に一人称で仕事を進められることを伝えて合格しています。SIerで積んだ経験は転職でも独立でも、伝え方しだいで評価の材料になります。
一方で、独立には転職にない負担もあります。税金や社会保険の手続きは自分でやることになります。会社員のときは会社がそのあたりをやってくれていたのだと、僕も辞めてから実感しました。税や保険の扱いは人によって事情が違うので、分からないところは税理士や役所の窓口などの専門家に確かめてください。
独立しても会社員に戻る道は閉じない
独立しても、会社員に戻る道が閉じるわけではありません。僕は仕事で関わる人から「サカイさん、うちの会社入っちゃえばいいのに」と何度か言われたことがあります。
社員になることは一切考えていないので、その場では「ありがとうございます」と流しています。ただ仮にどうしても食い扶持が無くなっても、行く当てがあるのは精神衛生上いいと思っています。フリーランスは不安定と思われがちです。それでもクライアントの信用を勝ち取れば、その企業に就職することも十分できると思います。
「フリーランスになると会社員に戻れない」という人もいますが、僕は全然そうは思いません。業務委託で即戦力を期待されて期待どおりかそれ以上の成果を出せる人なら、会社員に戻っても高い成果を出すと思います。
独立を選んだからといって、会社員に戻る道がなくなるわけではありません。一方で、「しょうがないから会社員」「しょうがないからフリーランス」のように妥協してキャリアを選んでいる人は、働き方に関係なくうまくいかないと僕は思っています。転職を面倒だと思う気持ちも、怖いと思う気持ちも分かります。それでも一時の気持ちを優先して何も動き出さない将来のほうが怖い、ということは知っておいてほしいです。
よくある質問
最後に、SIerからの転職でよく聞かれる質問に答えます。
SIerからの転職は難しいですか
SIerからの転職が特別に難しいということはありません。業務システムの開発経験や上流工程・調整の経験は、社内SEやITコンサルなど多くの転職先で求められる経験だからです。
難しく感じやすいのは、経験を言葉にできていないときです。「SIerで○年働きました」だけでは、何ができる人なのかが伝わりません。担当した工程・業界・役割・意識したことを具体的に書けば、SIerの経験はむしろ説明しやすい経歴になります。
資格は必要ですか
転職でも、資格より実務経験が重視されることが一般的です。資格は、経験を客観的に示す材料の1つとして見られます。そのうえで僕は、取れるならあったほうがいいと思っています。
僕はIT系の資格を持っていません。基本情報技術者試験と応用情報技術者試験を受けたことはありますが、どちらも不合格でした。資格が無くても実務で困ったことはありません。ただ資格ゼロでいいわけではなく、取れるに越したことはないけれど取れなかっただけです。
転職と独立はどちらが向いていますか
どちらが向いているかは、一番譲れない理由で決まります。会社員の安定を保ちながら環境を変えたいなら転職、収入を上げたくて一人称で仕事を進める自信があるなら独立が候補になります。
迷うなら、まず経験の棚卸しをしてみるのがおすすめです。棚卸しは転職でも独立でも最初にやる作業なので、どちらに進んでもムダになりません。書き出した経験を見ながら自分がどこで一番評価されそうかを考えると、進む方向が見えやすくなります。
転職カテゴリの各記事は、このページの下の一覧から読めます。転職先ごとの違いや職務経歴書の書き方・面接の準備など、気になるところから読んでみてください。
SIerからの転職の記事
- SIerの転職エージェントの選び方|行き先別の比較と面談する側から見たコツSIerからの転職に使う転職エージェントの選び方を、社内SE・ITコンサル/金融・IT業界全般の行き先別に整理します。SIerの経験を活かせるエージェントの見分け方と、業務委託の面談で面談する側にも入っているサカイから見た使い方のコツをまとめます。
- SIerはやめとけと言われる理由|2009年から2016年まで在籍した僕の答え「SIerはやめとけ」と言われる理由を、2009年から2016年までSIerに在籍したサカイが検証します。在籍中に感じていたこと、向いている人・向いていない人、やめとけに当てはまらないSIerの見分け方をまとめます。
- SIerを辞めたいときの判断基準|転職せず2016年に独立した僕の場合SIerを辞めたいときの判断基準を、転職せずに2016年に独立したサカイが整理します。辞めたくなるよくある理由、辞めた後の行き先、辞めると決めてからの進め方をまとめます。
- SIerから社内SEへ転職する前に|発注側に回った僕が見た評価される経験SIerから社内SEへ転職する前に知っておきたいことを、発注側の立場で働くサカイが整理します。社内SEで評価される経験、SIerとの違い、転職が難しいと言われる理由、転職のための準備をまとめます。
- 社内SEはやめとけ?情シスの立場で働く僕が見た大変さと向いている人「社内SEはやめとけ」と言われる理由を、情シスの立場で働くサカイが整理します。発注側の仕事の重さ、会社によって違う役割、向いている人・向いていない人、やめとけにならない職場の選び方をまとめます。
- エンジニア35歳定年説は本当?35歳を超えた僕が現場で感じた変化と答えエンジニア35歳定年説が今も当てはまるかを、35歳を超えて現場で働くサカイが検証します。定年説が生まれた背景、35歳を超えて感じた変化、35歳を超えても求められるスキルをまとめます。
- SIerの将来性はある?なくならない理由と発注側から見た生き残る人の条件SIerの将来性を、発注側の立場からも現場を見ているサカイが整理します。将来性がないと言われる理由、SIerで働くメリット、生き残るSIerエンジニアの条件、将来性を踏まえたキャリアの選び方をまとめます。
- SIerからの転職先の選び方|社内SE・コンサル・大手SIer・独立を比較SIerからの転職先を、事業会社(社内SE・DX推進)・ITコンサル・大手SIer・Web系・独立の5つに分けて比べます。何を変えたいかで選ぶ考え方と、転職先を決めた後の進め方をまとめます。
- SIerのキャリアパスは社内だけじゃない|PM・社内SE・独立の選び方SIerのキャリアパスを、社内の4つの道と社外に出る道に分けて整理します。年次ごとのキャリアの悩み、どの道でも必要になるスキル、キャリアパスを決めるときのポイントをまとめます。
- SIerの転職は30代でも遅くない?30歳前に独立した僕が見た分かれ目SIerからの転職は30代でも遅くないかを、30歳前にSIerから独立したサカイが整理します。30代前半と後半で変わること、30代の転職先の選び方と進め方をまとめます。
- エンジニアの職務経歴書の書き方|習得スキルと意識したことを足して伝えるエンジニアの職務経歴書の書き方を、やったことに「習得スキル」と「意識したこと」を足す形で解説します。項目別の書き方、SIer出身者が書くときの注意、読まれない職務経歴書の特徴、雛形と提出前のチェックをまとめます。
- エンジニアの転職面接でよく聞かれる質問|面談する側から見た答え方と深掘り対策エンジニアの転職面接でよく聞かれる質問と答え方を、業務委託の面談で面談する側にも入っているサカイが整理します。面接官が確かめていること、技術の深掘りへの備え、年収と働き方の質問、逆質問をまとめます。
- ベンダーコントロールとは?仕事内容とスキル|SIer出身で発注側に立つ僕の実務ベンダーコントロールの意味と仕事内容を、要件定義から受入テスト・リリースまでの工程ごとに整理します。SIer出身で業務委託として情シスの立場に入っているサカイが、受注側と発注側で同じ工程がどう違って見えるか、必要なスキル、求人の見分け方を書きます。
- エンジニアに資格はいらない?資格なしで2016年に独立した僕が見る役立つ場面エンジニアに資格はいらないのかを、必須ではない理由と、資格が役立つ6つの場面に分けて整理します。IT系の資格を持たずに2016年に独立したサカイが、試験に落ちた経緯、業務委託の面談で面談する側が資格より先に見ているもの、取るなら目的別にどの資格を選ぶか、IPAの新試験制度の予定まで書きます。
- SIerの年収は低い?公的統計の相場と年収400万円から独立した僕の上げ方SIerの年収は低いのかを、厚生労働省と国税庁の公的統計で確かめます。職種・年代・企業規模別の年収の目安、差が出る5つの要因、低いと言われる理由、社内・転職・独立の3つの上げ方を整理。2015年ごろ年収400万円くらいだったSIer出身のサカイが、独立後の単価交渉と業務委託の面談で面談する側から見たことも書きます。
