SIerからの転職先の選び方|社内SE・コンサル・大手SIer・独立を比較
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目次 9項目
SIerからの転職先は、「技術を続けたいか」「発注側に回りたいか」「年収を上げたいか」のどれを一番に置くかで選ぶと迷いにくくなります。候補は事業会社(社内SE・DX推進)・ITコンサル・大手やプライムのSIer・Web系の自社開発とプリセールス、そして転職ではなく独立する道の5つです。この記事では、それぞれの仕事の中身・求められる経験・年収の傾向・入りやすさ・向いている人を並べて比べます。
書いている僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年にフリーランスのエンジニアとして独立しました。転職はしていません。 そのため、ここに書く転職先の「入ってみた体験」はありません。
書けるのは次の3つです。2025年4月から業務委託で入っている情シス(発注側)の立場から見たSIer出身者のこと。業務委託のエンジニアを受け入れる面談で、面談する側に入っている立場のこと。そして、転職せずに独立した人間から見た比較です。年収の数字は厚生労働省の統計の原表から計算し、サービスの内容は公式サイトを確かめて載せています。
行き先ごとにどの転職エージェントを使うかは、SIerの転職エージェントの選び方で比べています。
SIerからの転職先は5つ。何を変えたいかで選ぶ
SIerからの転職先は、事業会社(社内SE・DX推進)・ITコンサル・大手やプライムのSIer・Web系の自社開発とプリセールス・独立の5つに分けられます。どれが合うかは、今の仕事の何を変えたいかで決まります。
行き先を「人気だから」「年収が高そうだから」で選ぶと、入ってから毎日の仕事が想像と違ったと感じやすくなります。逆に変えたいことが1つに絞れていれば、候補は2〜3まで減ります。

年収・働き方・求められる経験の比較表
5つの行き先を、仕事の中身・求められる経験・年収の傾向・入りやすさで並べると次のようになります。年収の傾向と入りやすさは、一般的にそう言われることが多いという目安です。会社によって大きく変わります。
| 行き先 | 主な仕事 | 求められる経験 | 年収の傾向 | 入りやすさの目安 |
|---|---|---|---|---|
| 事業会社(社内SE・DX推進) | 自社のシステムの企画・発注・運用、業務のデジタル化 | 業務知識、要件定義、ベンダーとの調整 | 移る先の会社の給与水準しだい | 求人が少なく、人気の求人は競争が激しい |
| ITコンサル | 顧客の課題を整理し、システムで何を解決するかを提案する | 要件定義・業務設計、説明と資料作り | 上流の職種として高めに出やすい | 上流の経験があれば狙える。ケース面接などの対策が要る |
| 大手・プライムのSIer | 元請けとして顧客から直接受け、上流からプロジェクトを回す | PM・リーダー、上流工程、業界の業務知識 | 規模の大きい会社ほど高めに出やすい | 仕事の進め方が近く、環境の変化が一番小さい |
| Web系・自社開発/プリセールス | 自社サービスの開発・運用/技術の分かる営業 | モダンな技術と学び続ける姿勢/説明する力 | 会社と職種で差が大きい | 技術スタックの差が大きいほど準備が要る |
| 独立(フリーランス) | 案件ごとに業務委託で現場に入る | 一人称で進められる実務経験 | 単価しだい。交渉しないと上がりにくい | 実務経験が前提。税や社会保険の手続きは自分でやる |
表は横にスクロールできます
年収の傾向を、公的な統計で確かめておきます。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(職種・第1表)から、IT系の2つの職種を企業の規模別に並べました。統計に「年収」の欄は無いので、表の「きまって支給する現金給与額」(毎月決まって支給される給与。残業代を含む)の12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して、このサイトで計算した年収の目安です。
| 職種(統計上の分類) | 企業規模計(10人以上) | 1,000人以上 | 100〜999人 | 10〜99人 |
|---|---|---|---|---|
| システムコンサルタント・設計者 | 約889万円 | 約1,010万円 | 約854万円 | 約585万円 |
| ソフトウェア作成者 | 約578万円 | 約641万円 | 約555万円 | 約518万円 |
いずれも一般労働者の男女計・産業計の平均で、1万円未満は四捨五入しています。平均年齢はシステムコンサルタント・設計者が38.3歳で、ソフトウェア作成者が37.1歳です。
この表から読み取れる傾向は2つあります。1つは、設計やコンサルティングを担う上流の職種ほど年収が高めに出ることです。もう1つは、同じ職種でも企業の規模が大きいほど高めに出ることです。
ただし、統計の職種は「SIerか社内SEか」で分かれていません。上の「システムコンサルタント・設計者」には、ITコンサルだけでなくSIerでシステムを設計している人も含まれます。行き先ごとの年収は、求人票とエージェントへの相談で個別に確かめるのが確実です。SIerの年収の相場と上げ方はSIerの年収は低い?に書きました。
技術を続けたい人の行き先
自分でシステムを作る仕事を続けたいなら、候補はWeb系の自社開発企業と独立の2つです。
Web系の自社開発企業は自社のサービスを自分たちで作り続けるので、開発の仕事を続けやすい環境だと言われます。一方でSIerの業務系システムとは使う言語や進め方が変わることが多く、技術を学び直す覚悟が要ります。
独立は、技術の中身を大きく変えずに働き方を変えられる道です。僕は2009年から.NETで業務系のシステムを作ってきました。C#とVB.NETが半々くらいで、Windowsフォームのアプリ・Webサイト・コンソールアプリなどです。会社を辞めても、業務系システムの現場でコードを書く仕事そのものは変わりませんでした。
大手SIerに移ると、年次が上がるほど管理の比重が増えると言われることが多いです。技術を続けたい人は、入社後の役割を面接で確かめておくと安心です。
発注側に回りたい人の行き先
発注側に回りたいなら、事業会社の社内SE・DX推進とITコンサルが候補になります。
事業会社は、自社のシステムを持つ会社の中に入って発注する立場です。ITコンサルは発注する会社の側に立って、何をどう頼むかを一緒に考える立場です。どちらも、顧客の要望を仕様にまとめてきたSIerの経験を使えます。違いは1つの会社に長く関わるか、案件ごとに複数の会社に関わるかです。
年収を上げたい人の行き先
年収を上げることを一番に置くなら、大手・プライムのSIer・ITコンサル・独立の3つが候補です。先ほどの統計でも、規模の大きい会社と上流の職種ほど年収が高めに出ていました。
僕が2016年に独立したのも、収入を上げたかったからです。そのとき転職は候補に入れず、フリーランスが手っ取り早いという、けっこう安易な理由で決めています。会社員だった2015年ごろの年収は400万円くらいで、独立して最初の案件は月額50万円でした。
独立すると、年収は給与制度ではなく案件の単価で決まります。上がる幅が大きい反面、案件が切れれば収入も止まります。年収だけで比べず、安定とのバランスで選ぶことが大切です。
事業会社(社内SE・DX推進)
事業会社への転職は、SIerからの転職先の中で「発注側に回る」道です。自社のシステムを企画してベンダーに開発を頼み、できあがったものを受け入れて運用します。
事業会社のIT部門には、大きく2つの役割があります。1つは、社内のシステムを安定して動かす情報システム部門(いわゆる社内SE)です。もう1つは、業務や事業の仕組みをデジタルで変えていくDX推進の部門です。会社によっては、同じ部署が両方を受け持っています。
社内SEの仕事の中身とSIerとの違い・転職の準備は、SIerから社内SEへ転職する前に知っておきたいことで詳しく書きました。ここでは要点と、ほかの行き先と比べたときの向き不向きに絞ります。
- 仕事の中心:社内の要望をまとめる、ベンダーに依頼して管理する、受け入れて運用する
- 自分で作る量:会社によって大きく違う。内製の会社もあれば、ほぼベンダー任せの会社もある
- DX推進の特徴:既存のシステムを守るより、業務の変え方を企画する比重が大きいとされることが多い
- 年収:移る先の会社の給与水準で決まる。上がるか下がるかは一概に言えない
向いている人
事業会社に向いているのは、1つの会社の業務に長く付き合いたい人と、作る人と使う人の間に立つ仕事が苦にならない人です。
SIerではプロジェクトが終われば次の顧客へ移ります。事業会社では、同じシステムと何年も付き合います。業務を深く知るほど仕事がしやすくなるので、特定の業界の業務知識を持っている人ほど力を発揮しやすい行き先です。金融系の案件を担当してきたなら金融の事業会社を選ぶ。製造業の生産管理を作ってきたなら製造業の事業会社を選ぶ。このように業界をそろえると、経験が直接活きます。
DX推進の部門を狙うなら、システムを作る力に加えて業務をどう変えるかを考えて説明する力が求められます。要件定義で業務の流れを図にしたり改善の案を出したりした経験があれば、話の材料になります。
つまずきやすい点
事業会社でつまずきやすいのは、「発注側は楽そうだ」という期待と実際の仕事の差です。
僕は2025年4月から、業務委託で情シスの立場に入っています。担当は要件定義からベンダーコントロール、受入テスト〜リリースまでです。入る直前は、発注側はただ指示するだけで楽だと思っていました。実際は思っていたより大変です。発注側の仕事の中身はベンダーコントロールとはに書きました。
ほかにも、次のような点でずれが出やすいと言われます。
- 求人が少なく、希望の業界や地域で見つからないことがある
- 情シスの人数が少ない会社では、PCやアカウントの管理まで受け持つことがある
- 自分でコードを書く機会が、想像より少ないことがある
求人票と面接で、情シスの人数・内製の有無・最初に任される仕事を確かめておくと、入ってからのずれが小さくなります。
発注側から見たSIer出身者
発注側から見たSIer出身者の強みは、受注側と発注側の両方の目線に立てることです。僕もキャリアの初めがベンダー側だったので、発注側に立ったいま、それが良かったと感じています。
情シスの立場で僕が大切にしているのは、ユーザーとベンダーの間の「翻訳」です。ユーザーの要望はベンダーが作れる形にし、ベンダーの説明はユーザーに伝わる言葉にします。受け取った話をそのまま横流しすると、自分が伝言ゲームの一段になるだけです。
この翻訳には、システムを作る流れを知っていることが効きます。翻訳する側の詳しい話はSIerから社内SEへ転職する前に知っておきたいことに書いたので、ここでは面接での伝え方だけ触れます。事業会社の面接では「顧客の要望を仕様にまとめた」「協力会社とのやりとりで認識のずれを埋めた」といった場面を、発注側でどう使えるかまで言葉にしておくと伝わりやすくなります。
ITコンサル
ITコンサルへの転職は、SIerからの転職先の中で一番上流に寄る道です。顧客の経営や業務の課題を整理して、システムで何をどう解決するかを提案します。
ITコンサルと一口に言っても、仕事の幅は広めです。IT戦略の立案に近いものから、システムの導入を発注者側で管理するPMO(プロジェクト管理の支援)まであります。SIer出身者が入りやすいのは、要件定義や導入の支援などシステムの中身が分かることが活きる領域だと言われます。
- 仕事の中心:課題の整理、業務の設計、提案と資料作り、プロジェクトの管理支援
- 求められる経験:要件定義・業務設計、顧客との折衝、課題を構造にして説明する力
- 年収:統計上も上流の職種は高めに出る。ファームの規模や職位で大きく変わる
- 選考:ケース面接(その場で課題を考えて答える面接)を行うファームもある
向いている人
ITコンサルに向いているのは、自分で作るより「何を作るべきか」を考えるのが好きな人です。
SIerで要件定義を担当して顧客の話から業務の流れを整理してきた人は、その経験が評価の軸になります。プロジェクトが変わるたびに新しい業界や課題に触れるので、変化を楽しめる人にも向いています。
業界の業務知識も武器になります。僕の場合、独立して最初に決まった信託銀行の案件は、会社員時代に携わった生保・損保と同じ金融の領域でした。経験に親和性があったのではないかと考えています。コンサルでも、得意な業界があることは提案の説得力につながると言われます。
つまずきやすい点
ITコンサルでつまずきやすいのは、手を動かして作る仕事から離れることと資料と説明の比重の大きさです。
成果物はシステムそのものより、提案書・設計の資料・会議での説明になることが多いと言われます。コードを書くことに手応えを感じてきた人は、そのずれが大きく感じられるかもしれません。
選考の対策も、SIerの転職とは違います。ケース面接を行うファームでは、課題を分解して自分の考えを筋道立てて話す練習が要ります。コンサル業界に特化した転職エージェントのMyVisionは、公式サイトでケース面接を含む選考対策を行うとしています(2026年10月8日確認)。
大手・プライムのSIer
大手・プライムのSIerへの転職は、同じSIerの中でより上流を任される会社に移る道です。プライムとは、顧客から直接仕事を受ける元請けの会社のことです。
二次請け・三次請けの会社では要件定義や基本設計を元請けが持ち、自分たちは詳細設計から先を受け持つことがよくあります。元請けに移ると、顧客と向き合う工程が増えるのが一般的です。先ほどの統計でも、1,000人以上の会社は同じ職種でも年収が高めに出ていました。
- 仕事の中心:上流工程、プロジェクトの管理、協力会社の取りまとめ
- 求められる経験:PM・リーダー、要件定義・基本設計、業界の業務知識
- 年収:規模の大きい会社ほど高めに出やすい
- 環境の変化:進め方や用語が今の会社と近く、5つの中で一番小さい
元請けに移ることは、商流(仕事が流れてくる会社の並び)の上に移ることでもあります。フリーランスの僕も商流は気にしていて、間に入る会社が多いとムダにマージンがかかっていると思ってしまいます。できれば浅いに越したことはないと考えています。ただ、今の現場や単価に満足しているなら、それでいいとも思っています。
向いている人
大手・プライムのSIerに向いているのは、SIerの仕事そのものは好きで立ち位置だけを上流に移したい人です。
業務システムを作る仕事に不満はないけれど、詳細設計とテストばかりで要件定義に関われない。そういう人にとっては、仕事の中身を大きく変えずに経験の幅を広げられる行き先です。リーダーやサブリーダーとしてチームを回した経験があれば、選考でも具体的に話せる材料になります。
つまずきやすい点
大手・プライムのSIerでつまずきやすいのは、自分で作る時間が減って管理の仕事が増えることです。
元請けの仕事は、協力会社に作業を頼んで進み具合と品質を管理する比重が大きくなりがちです。今の不満が「技術に触れられない」ことなら、元請けに移ると不満がかえって大きくなるかもしれません。
また会社が大きいぶん、配属や担当する顧客を自分で選べるとは限りません。「SIerはやめとけ」と言われる理由のいくつかは、大手に移っても残ることがあります。会社の規模で変わる理由と変わらない理由は、SIerはやめとけと言われる理由で整理しています。
Web系・自社開発とプリセールス
Web系の自社開発とプリセールスは、どちらもSIerからの転職先としては少し方向の違う行き先です。前者は技術に寄り、後者は顧客との対話に寄ります。
Web系・自社開発
Web系の自社開発企業への転職は、受託ではなく自社のサービスを作る側に移る道です。自社の事業のためにシステムを作るので、リリースした後も改善を続けます。
- 仕事の中心:自社サービスの企画への参加、開発、リリース後の改善と運用
- 求められる経験:開発の実務、モダンな言語やクラウドの経験、自分で学び続ける姿勢
- 年収:会社の規模や事業の状況で差が大きい
- 向いている人:コードを書き続けたい人、サービスを育てることに興味がある人
SIerの業務系システムを作ってきた人にとっては、使う技術も進め方も変わる部分が大きくなります。開発のサイクルが短く、仕様が途中で変わることを前提に進める会社も多いと言われます。
つまずきやすいのは、今の技術スタックと求人が求める技術の差です。業務系の言語やフレームワークが中心だった人は、個人でサービスを作ってみるなどして応募の前に経験の橋渡しをしておくと話がしやすくなります。設計書に沿って品質を作り込む力や業務を理解して仕様に落とす力は、Web系でも活かせる経験です。
プリセールス・技術営業
プリセールス(技術営業)への転職は、技術の分かる立場で顧客への提案を支える仕事に移る道です。営業と一緒に顧客を訪ね、製品やシステムの説明・提案書や見積もりの作成・デモなどを担当します。
- 仕事の中心:技術面からの提案、見積もり、製品の説明とデモ
- 求められる経験:システムの全体像を理解していること、顧客に分かる言葉で説明する力
- 年収:営業職としての評価や成果給の有無で、会社ごとに差が出る
- 向いている人:顧客と話すのが苦にならない人、作るより「伝える」ことに手応えを感じる人
SIerで顧客との打ち合わせや見積もりに関わってきた人は、その経験がそのまま活きます。一方で会社によっては売上の目標を持つ営業の一員になるので、数字に追われる感覚が合わない人もいます。応募する前に、目標の持ち方と評価の仕組みを確かめておきたいところです。
転職ではなく独立という行き先
SIerからの行き先は、転職だけではありません。フリーランスとして独立し、案件ごとに業務委託で契約する道もあります。僕が選んだのは、この道です。
独立してからは、金融系の現場で.NETの開発を続けてきました。2024年からはもう1つ案件を受けていて、2024年は官公庁の案件でPower Platformを使った申請アプリを作りました。2025年4月からは別の現場に移り、情シス(発注側)の立場に入っています。
官公庁の案件を受けたのも、いまの現場に移ったのも、上流工程やリーダーの経験をしたかったからです。転職しなくても、案件の選び方しだいで経験の幅は広げられます。上流に移りたい人にとっては、これも1つの方法です。
独立が向いているかどうかは、SIerキャリア診断(約2分)でも確かめられます。独立の手順と単価の目安はSIerからフリーランスになるにはにまとめました。
業務委託で現場に入る
独立すると、エージェントを通じて紹介された案件に面談を経て業務委託で入るのが一般的です。会社員の転職と違うのは、契約の期間ごとに更新していくことです。
僕の場合、金融系の現場の契約更新はもともと2〜3か月ごとだった気がします。今は半年ごとです。長く続けてほしいと思ってもらえているのか、気づいたら更新の間隔が長くなっていました。案件と案件の間で無収入になった期間は、これまで一度もありません。
勤怠が良好で与えられた仕事をこなしていれば、契約を切られることは基本ないと思っています。ただ、簡単なようでこの当たり前ができない人が意外といる、というのが僕が見聞きしてきた範囲での実感です。短い期間で契約が終わる人には、勤怠の不正・体調を崩す・受け身になりすぎるといった、何かしらの原因があるように見えます。
新しい現場で求められるかどうかは、自分では決められません。でも今の現場で価値を出すことは、自分で決められます。特別なスキルや裏技に頼るより、今の現場で求められる自分で居続けること。その積み重ねが、結果として案件が途切れない理由になっていると思います。
2025年4月に2本目の現場が切り替わったときは、エージェントから5〜6件の提案を受けました。そのうち2社と面談して、どちらも合格しています。期間は1か月くらいでした。
いまの現場で周りにいるフリーランスは2〜3人で、若手でイケイケの人より経験豊富なベテランが多い印象です。独立は「実務経験を積んでから選ぶ行き先」だと考えておくと、ほかの4つと比べやすくなります。
独立には、転職にない負担もあります。
- 税金や社会保険の手続きを自分でやる
- 次の案件を自分(とエージェント)で探す
- 収入の波を自分で引き受ける
税や社会保険の扱いは人によって事情が違います。分からないところは、税理士や役所の窓口などの専門家に確かめてください。
クライアントから「入らないか」と言われることもある
業務委託で現場に入っていると、社員にならないかと声をかけられることもあります。僕も仕事で関わる人から「サカイさん、うちの会社入っちゃえばいいのに」と何度か言われたことがあります。
僕自身は社員になるつもりが一切ないので、言われても「ありがとうございます」と返すだけです。それでも、どうしても食い扶持が無くなったときに行く当てがあるのは、精神衛生上いいことだと感じています。
行き先を選ぶ人に知っておいてほしいのは、独立が一方通行の道ではないということです。クライアントの信用を勝ち取れば、その会社に就職する道も十分あると思います。業務委託で即戦力を期待され、期待どおりかそれ以上の成果を出せる人なら、会社員に戻っても高い成果を出すと思っています。
逆に、妥協して選んだキャリアはうまくいきにくいと僕は考えています。「しょうがないから会社員」でも「しょうがないからフリーランス」でも、働き方に関係なくです。5つの行き先のどれを選ぶにしても、自分で納得して選ぶことが一番大事です。
転職先を決めたら
SIerからの転職先を決めたら、その行き先に合わせて職務経歴書を書いて行き先に強い転職エージェントを選びます。同じ経験でも、行き先によって前に出すべき部分が変わるからです。
候補が2つ以上残っていて決めきれないときは、次の3つを確かめると判断しやすくなります。

- 変えたいことを1つに絞る:技術・発注側・年収のどれを一番に置くか。2つ以上を同じ重さで追うと、どの行き先も中途半端に見えてくる
- 行き先で毎日やる仕事を確かめる:入社後の1日の大半を何に使うのか。会議・資料・コード・調整の割合を面接で聞いておく
- 今の経験で通じる部分を言葉にする:その行き先で、自分の経験のどこが使えるかを1〜2文で言えるか
30代で迷っている人は、年代ごとの考え方をSIerの転職は30代でも遅くないかにまとめています。辞めるかどうかから迷っている段階なら、SIerを辞めたいときの判断基準が先です。
職務経歴書で伝える経験
職務経歴書では、行き先ごとに前に出す経験を変えるのが基本です。
| 行き先 | 前に出したい経験 |
|---|---|
| 事業会社(社内SE・DX推進) | 業界の業務知識、要件定義、協力会社やユーザーとの調整 |
| ITコンサル | 課題の整理と提案、業務設計、顧客との折衝 |
| 大手・プライムのSIer | PM・リーダー、上流工程、チームの規模と役割 |
| Web系・自社開発 | 開発の実務、使った技術、自分で学んで作ったもの |
| プリセールス | 顧客への説明、見積もり、提案に関わった場面 |
僕が書いてきたのは転職用の職務経歴書ではなく、業務委託の案件に応募するときの経歴書です。途中から、その案件での「習得スキル」と「意識したこと」を書くようにしました。
面談する側に入るときは、まずスキルシートのスキルが現場に合っているかを見ます。合っていなくても、それでもいいと思える観点があれば大丈夫です。正社員の採用面接には関わったことがないので、転職でも同じとは限りません。それでも行き先で求められる経験と自分の経歴の重なりを読む側が一目で分かるようにしておくことは、どちらでも役に立つはずです。
行き先に強いエージェントを選ぶ
転職エージェントは、行き先に強い会社を入れて2〜3社を比べるのが一般的です。IT業界を広く扱う会社と特定の行き先(社内SEやコンサルなど)に絞った会社を組み合わせると、求人の幅と紹介の具体さの両方を確保できます。
社内SEなら社内SEに特化した社内SE転職ナビ、ITコンサルならコンサルに特化したMyVisionが候補になります。行き先をまだ1つに絞れていないなら、IT業界を広く扱うエージェントから始めるのが現実的です。行き先別の比べ方は、SIerの転職エージェントの選び方で詳しく書きました。
ITエンジニア向けの転職エージェントの1つに、レバテック株式会社が運営するレバテックキャリアがあります。公式サイトで確かめたことは次のとおりです(2026年10月8日確認)。
- カウンセリングは1〜1.5時間で、電話・オンラインでも受けられる
- 転職をすぐにしたい人だけでなく、まだ検討中の人も相談できる
- 求人の紹介に加えて、書類の添削や企業ごとの面接対策もサポートしている
- 内定後は、年収の交渉や入社日の調整もしてもらえる
行き先の候補を並べて比べたい方へPR
レバテックキャリアはITエンジニア向けの転職エージェントで、登録は無料です。社内SEや自社開発の企業など、複数の行き先の求人を同じ窓口で比べられます。
僕自身は転職をしていないので、レバテックキャリアを使ったことはありません。このページからのご案内の対象は、エンジニアとして働いた経験がある方です。エンジニアの経験がない方・50代以上の方・サービスの対象エリア外の方は、紹介できる求人が無くサポートを受けられないことがあります。
サービスの内容は2026年10月8日に公式サイトで確認したものです。最新の情報は公式サイトで確かめてください。
よくある質問
最後に、SIerからの転職先を選ぶときによく出る疑問に答えます。
経験の無い分野の転職先にも移れますか
経験の無い分野にも移れますが、行き先によって準備の量がかなり違います。事業会社と大手・プライムのSIerは、SIerの経験の延長で選考を受けやすい行き先です。ITコンサルは上流の経験があれば狙えますが、選考の形式に合わせた対策が要ります。
準備が一番要るのは、Web系の自社開発とプリセールスです。Web系では使う技術、プリセールスでは営業としての動き方が新しくなります。足りない部分を応募の前にどう埋めたかを話せるようにしておくと、未経験の分野でも選考で伝えやすくなります。年代によって選べる幅が変わるとも言われるので、30代の人は年代別の記事もあわせて確かめてください。
内定を2社もらって迷ったらどう決めればいいですか
内定先で迷ったら、最初に決めた「一番変えたいこと」がどちらでより叶うかで比べるのが基本です。年収や知名度は分かりやすい差ですが、それだけで決めると入ってから同じ不満を抱えかねません。
比べるときは、次のような点を並べてみるのがおすすめです。
- 入社後に最初に任される仕事と、1日の仕事の割合
- 配属先のチームの人数と、自分の役割
- 評価の仕組みと、年収が上がる道筋
- 働き方(残業の目安・リモートの可否・客先に出るかどうか)
分からない点は、内定の後でも転職エージェントを通じて企業に確かめてもらえることがあります。迷ったまま決めるより、聞ける機会を使い切ってから決めるほうが後悔が少なくなります。
まとめ:SIerからの転職先は「何を変えたいか」で絞る
SIerからの転職先は、事業会社(社内SE・DX推進)・ITコンサル・大手やプライムのSIer・Web系の自社開発とプリセールス・独立の5つです。どれが合うかは、技術・発注側・年収のどれを一番に変えたいかで決まります。
- 技術を続けたい:Web系・自社開発、独立
- 発注側に回りたい:事業会社(社内SE・DX推進)、ITコンサル
- 年収を上げたい:大手・プライムのSIer、ITコンサル、独立
統計で見ると、上流の職種と規模の大きい会社ほど年収は高めに出ます。ただ、それは平均の話です。行き先で毎日やる仕事が自分に合っているかのほうが、長く働くうえでは大切です。
僕は転職をせずに独立しました。それでも発注側に立ってみて、キャリアの初めに受注側を経験してきたことは良かったと感じています。全体の進め方はSIerからの転職先と進め方にまとめているので、あわせて読んでみてください。
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転職するかを決める前に今の経験でどんな求人があるかを知っておくと、行き先を絞る材料になります。レバテックキャリアは、転職をまだ検討中の段階でも相談できるITエンジニア向けの転職エージェントです。
僕自身は転職をしていないので、レバテックキャリアを使ったことはありません。エンジニアの経験がない方・50代以上の方・サービスの対象エリア外の方は、紹介できる求人が無くサポートを受けられないことがあります。
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