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SIerのキャリアパスは社内だけじゃない|PM・社内SE・独立の選び方

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折りたたんだ地図の上の会社のビルの断面。中の階段を上った先が4本に分かれ、横の扉からは別のビルと机のある家へ道が延びているイラスト
目次 7項目
  1. SIerの社内キャリアパスは4つ
  2. 年次ごとに訪れるキャリアの悩み
  3. どの道でも必要になるスキル
  4. 社外に出るキャリアパス
  5. キャリアパスを決めるときのポイント
  6. よくある質問
  7. まとめ:SIerのキャリアパスは「やりたい仕事」と「社内で叶うか」で選ぶ

SIerのキャリアパスは、社内で進む道が「プロジェクトマネージャー」「ITアーキテクト」「技術のスペシャリスト」「組織の管理職」の4つです。社外に出る道として、転職と独立の2つがあります。どれを選ぶかは、5年後にやっていたい仕事とそれが今の会社で叶うかどうかで決まります。

書いている僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年にフリーランスのエンジニアとして独立しました。転職はしていません。 会社を出たのは30歳前で、社内のキャリアパスが4つに分かれるより手前でした。PMや管理職として社内を進んだ経験は、僕にはありません。

この記事では、社内の4つの道と年次ごとの悩みを一般的な情報で整理します。そこに、受注側から独立して発注側の現場にも入った僕の経験を足します。役職ごとの給与は厚生労働省の統計を、各職種の役割は情報処理推進機構(IPA)の公式ページを確かめて載せています。

転職を含めた全体の流れは、SIerからの転職先と進め方にまとめています。

SIerの社内キャリアパスは4つ

SIerの社内キャリアパスは、プログラマー(PG)やシステムエンジニア(SE)として経験を積んでリーダーを経たのち4つに分かれるのが一般的です。行き先はプロジェクトマネージャー(PM)・ITアーキテクト・技術のスペシャリスト・組織の管理職です。

段階の呼び方や数は、会社によって違います。リーダーをプロジェクトリーダー(PL)と呼ぶ会社もあれば、サブリーダーやチームリーダーと呼ぶ会社もあります。等級の制度を「マネジメント職」と「専門職」の2本に分けている会社もあります。それでも、手を動かす段階から「人をまとめる道」と「技術を深める道」に分かれていく流れは多くのSIerで共通しているとされます。

社内のキャリアパスの段階と分かれ道。PG(1〜3年目)、SE(3〜5年目)、リーダー(5〜10年目)と進み、10年目前後からプロジェクトマネージャー・ITアーキテクト・技術のスペシャリスト・組織の管理職の4つに分かれる
社内のキャリアパスの段階と分かれ道

段階ごとの主な仕事は、次のとおりです。年次はあくまで目安で、会社の規模や担当する案件で前後します。

段階主な仕事年次の目安
PG詳細設計に沿ったプログラミング、単体テスト1〜3年目
SE基本設計・詳細設計、結合テスト、顧客との打ち合わせへの同席3〜5年目
リーダー(PLなど)数人のチームの進み具合と品質の管理、メンバーの成果物のレビュー5〜10年目
4つの道下の各節を参照10年目前後から

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャー(PM)は、SIerのキャリアパスの中で一番よく知られた到達点です。プロジェクトの計画・予算・進み具合・品質・体制に責任を持ち、顧客と約束した期日までにシステムを届けます。

IPAは、国家試験のプロジェクトマネージャ試験の対象者を次のように定めています。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者

求められるのは、計画を立てる力とリスクを早めに見つける力です。顧客と社内の両方と交渉する場面も多くなります。プロジェクトが大きいほど、関わる人とお金が増えて判断も重くなります。

その一方で、自分でコードを書く時間はほとんど無くなるのが一般的です。全体を動かすことに手応えを感じる人には合う道です。手を動かすことにやりがいを感じてきた人は、ほかの3つと比べてから選ぶと後悔が少なくなります。

ITアーキテクト

ITアーキテクトは、システム全体の構造を設計する技術の責任者です。どんな方式や基盤で作るか・データをどう持つかを要件から決め、開発チームが迷わないように設計の骨格を示します。

IPAのシステムアーキテクト試験では、対象者像の中で「情報システムを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導する者」と書かれています。要件定義から設計の全体を受け持つ、上流の技術職です。

PMが「プロジェクトを回す人」なら、ITアーキテクトは「システムの形を決める人」です。技術から離れずに上流へ進めるので、PMと迷う人が多い道でもあります。

ただし、ITアーキテクトという役職を置いていない会社も少なくありません。PMやスペシャリストの一部として扱われることもあります。目指すなら、社内にその役割を担っている人がいるかを先に確かめておく必要があります。

技術のスペシャリスト

技術のスペシャリストは、特定の技術や業務の領域で社内の第一人者になる道です。データベース・インフラ・セキュリティ・特定の言語やパッケージなど、領域は会社が強い分野によって変わります。技術ではなく、特定の業界の業務に詳しい「業務のスペシャリスト」として頼られる人もいます。

この道で気をつけたいのは、会社の等級の制度です。専門職の等級がある会社なら、管理職にならなくても役職と給与を上げていけます。専門職の等級が無い会社では、管理職に進まないと給与が上がりにくいことがあります。

僕が2009年から続けてきたのは、.NETで業務系システムを作る仕事です。言語はC#とVB.NETがおよそ半々で、形はWindowsフォームのアプリやWebサイト、コンソールアプリなどさまざまです。社内でスペシャリストの役職に就いていたわけではありません。それでも独立して最初に決まった案件の面談では、.NETで積んだ経験と、基本的に一人称で仕事を進められることを伝えています。

1つの技術と業務の領域で積み上げた経験は、社内の役職が無くても外で評価される材料になります。スペシャリストの道は、社内だけで完結しない道だと言えます。

組織の管理職

組織の管理職は、課や部の人・予算・評価を受け持って組織を動かす道です。責任を持つ単位がプロジェクトから部署に変わり、部下の育成と評価・採用・部署の売上や利益の管理が仕事の中心になります。

PMとの違いは、役目の続き方です。PMはプロジェクトが終われば役目も一区切りですが、管理職は部署がある限り組織に残ります。SIerでは課長がPMを兼ねることもあるので、2つの道が途中まで重なっている会社もあります。

給与の差を、公的な統計で見ておきます。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査「役職別にみた賃金」では、役職ごとの賃金が次のようになっています。

役職賃金(月額)非役職者を100としたとき平均年齢平均勤続年数
部長級63万5,800円204.853.1歳22.6年
課長級52万9,200円170.449.5歳20.9年
係長級39万9,200円128.645.4歳17.5年
非役職者31万500円100.041.8歳10.8年

いずれも一般労働者のうち雇用期間の定めのない人の男女計で、2025年6月分の所定内給与額(残業代や賞与を含まない毎月の給与)の平均です。調査の対象になっている16の大きな産業(常用労働者10人以上の民間の事業所)をまとめた数字なので、IT業界やSIerだけの数字ではありません。

この表からは、課長級で非役職者の約1.7倍・部長級で約2倍という差が読み取れます。管理職の道を選ぶかどうかは、給与の差と技術から離れることを並べて考える判断になります。

年次ごとに訪れるキャリアの悩み

SIerのキャリアパスで抱える悩みは、年次によって中身が変わります。1〜3年目は「この仕事を続けていいのか」が中心です。4〜10年目は「リーダーに進むか専門を深めるか」、10年目以降は「管理職コースに乗るか」が悩みの中心になるのが一般的です。

年次の節目で求められるものが変わるのは、会社の外に出ても同じです。フリーランスになってからの話ですが、僕は35歳を超えてから、自分の感覚も周りから求められるものも変わったと感じています。35歳くらいまでは、何となく若手っぽく扱われていた感覚でした。

年次よくある悩みこの時期にしておきたいこと
1〜3年目下流工程ばかりで、このままでいいのか工程をひととおり経験し、担当したシステムの業務を理解する
4〜10年目リーダーに進むか、専門を深めるか人をまとめる仕事と技術の仕事の、どちらに手応えがあるかを見ておく
10年目以降管理職コースに乗るか、別の道に移るか5年後の自分の仕事を、先輩の姿と比べて確かめる

1〜3年目:下流工程が中心

1〜3年目のSIerエンジニアは、プログラミングとテストといった下流工程が仕事の中心になるのが一般的です。設計書どおりに作る日が続くので、「上流に行けるのか」「この技術を続けていいのか」と悩みやすい時期です。

この時期に積んでおきたいのは、工程をひととおり経験することと担当したシステムの業務を理解することです。自分が作った部分がシステム全体のどこにあり、顧客の業務の何を支えているのか。それを説明できるようになると、次の段階で任される範囲が広がりやすくなります。

短い期間で職場を変えすぎないことも、この時期の注意点として挙げられます。僕はいまの現場で、業務委託のエンジニアを迎える面談に面談する側として入ることがあります。経歴書の直近の欄に数か月単位の経歴ばかりが並んでいると、正直なところ不安を感じます。正社員の採用面接に関わったことは無いので、転職の面接で同じように見られるとは言い切れません。それでも、経歴の続き方を見られることはあると考えておくと安心です。

4〜10年目:リーダーか専門か

SIerのキャリアパスが分かれ始めるのは、4〜10年目です。後輩の指導やチームのとりまとめを任され始めるので、リーダーに進むか技術を深めるかを選ぶ場面が増えます。

この時期は、人に関わる仕事と技術の仕事を両方少しずつ任されることが多くなります。SIerにいたころ、僕も評価面談の前に書く自己評価シートに、人の仕事と技術の仕事の両方を書いたことがありました。人のほうは、若手2人ほどのレビューを受け持っていたこと。技術のほうは、担当したサブシステムの障害件数が下がったことです。

どちらの仕事に手応えを感じるかを、この時期に意識しておくと分かれ道で迷いにくくなります。評価面談のシートは、その手応えを振り返る材料にもなります。

この時期に、社外の道を考え始める人もいます。僕が独立したのも30歳前で、エンジニア歴は7年ほどでした。転職は考えず、収入を上げる一番の近道だと思って独立を選んでいます。30代での転職の考え方は、SIerの転職は30代でも遅くないかで整理しています。

10年目以降:管理職コースに乗るか

10年目以降のSIerエンジニアにとって大きな分かれ道は、管理職コースに乗るかどうかです。課長などの役職に就くと評価や予算の仕事が増え、技術からは離れていくのが一般的です。

この時期の悩みは、今の会社でこの先に就く役職の姿がはっきり見えてくることから生まれやすくなります。将来への漠然とした不安は、このまま進んだ先の将来が上司を通して分かってしまうからだと僕は感じています。その将来に納得できるかどうかの考え方は、SIerを辞めたいときの判断基準で詳しく書きました。

管理職を選ばない場合は、専門職の等級に進むか社外に移るかが候補になります。今の現場で僕の周りにいるフリーランスも、若手でイケイケの人より経験豊富なベテランが多い印象です。10年目以降でも、積んだ経験を外で使う道は残っています。

どの道でも必要になるスキル

SIerのキャリアパスのどの道に進んでも必要になるスキルは、業務知識・上流工程の経験・調整と説明の力の3つです。PMでもスペシャリストでも社外に出ても、この3つは評価の土台になります。

スキル社内の道で効く場面社外の道で効く場面
業務知識顧客との打ち合わせ、要件の聞き取り同じ業界の事業会社や案件を選ぶとき
上流工程の経験PM・ITアーキテクトへの昇格ITコンサル・元請け・発注側への転職、上流の案件
調整と説明の力リーダー・管理職としてのとりまとめ発注側でのベンダーとのやりとり、面接や面談

業務知識

業務知識は、言語や技術が変わっても持ち運べる強みです。顧客の業務の言葉で話せる人は、仕様を理解する時間が短く済みます。

僕の場合は、金融の業務に縁がありました。会社員時代に生保・損保など金融系の案件に携わり、独立して最初に決まったのも信託銀行の案件です。業界が同じ金融だったので、面談で経験の近さを見てもらえたのではないかと僕は受け止めています。その後も、金融系の現場には2016年から入り続けています。

業務知識は、意識しないと「その案件のときだけの知識」で終わりがちです。担当した業界と業務を案件ごとに書き残しておくと、社内の異動の希望を出すときにも社外に出るときにも使えます。

上流工程の経験

上流工程の経験は、PMとITアーキテクトに進むための前提になる経験です。要件定義や基本設計を自分で担当したことがあるかは、社内の昇格でも転職でも必ずと言っていいほど見られます。

問題は、会社の立ち位置によっては上流工程が回ってこないことです。二次請け・三次請けの会社では、要件定義を元請けが持っていることがよくあります。会社の商流で何が変わるかは、SIerはやめとけと言われる理由で整理しました。

社内で上流の経験を積む方法としては、上流を持つ部署やプロジェクトへの異動を希望するのが一般的です。リーダーの補佐として要件定義の会議に入る、という方法もあります。僕の場合は、独立した後に案件の選び方で上流の経験を取りにいきました。その話は後の章で書きます。

調整と説明の力

調整と説明の力は、年次が上がるほど比重が増すスキルです。リーダーになればメンバーと顧客の間に、管理職になれば部署と経営の間に立ちます。

いま僕は発注側の立場で、ユーザーとベンダーの間に入っています。ユーザーの要望はベンダーに、ベンダーの説明はユーザーに。どちら向きでも、受け取った話をそのまま流さずに相手が仕事をしやすい言葉に翻訳するのが大切だと思っています。

説明の力は、AIを使う場面でも効いてきます。仕事で対話型のAIを使うようになってから、僕がソースを1から書く場面はだいぶ減りました。その代わり、やりたいことの伝え方が甘いと「やりたいのはそれじゃない」という解釈違いが起きます。誰が読んでも同じものができるところまで言葉にする必要があるのは、人に作業を頼むときと同じです。

社外に出るキャリアパス

SIerの社外に出るキャリアパスは、会社を変える「転職」と働き方を変える「独立」の2つです。社内の4つの道に近い役割は、社外にもあります。目指す役割が今の会社に無いときや届くまでに時間がかかるときは、外に出ることでその役割に近づける場合があります。

転職で行き先を変える

SIerからの転職は、社内のキャリアパスで目指していた役割を別の会社で取りにいく道です。社内の道ごとに、社外で近い行き先は次のように対応します。

  • PMを目指す:大手・元請けのSIer。顧客から直接受けるので、上流からプロジェクトを回す機会が増える
  • ITアーキテクトを目指す:ITコンサルや大手・元請けのSIer。システムの全体像を決める立場に近づく
  • 技術のスペシャリストを目指す:Web系・自社開発の会社。自社のサービスを作り続けられる
  • 発注側に回りたい:事業会社の社内SE。SIerの社内には無いことが多い道

この中で社内SEは、SIerの社内キャリアパスに無い道です。受注側から発注側に立場を移すので、同じ「上流」でも見える景色が変わります。僕は2025年4月から業務委託で情シスの立場に入っています。入る直前の印象は「発注側は指示を出すだけで楽そう」というものでした。入ってみるとその印象は外れていて、思っていたより大変です。

社内SEの仕事の中身はSIerから社内SEへ転職する前に知っておきたいことに、大変さと向き不向きは社内SEはやめとけと言われる理由にまとめました。行き先ごとの仕事・年収の傾向・つまずきやすい点は、SIerからの転職先の選び方で比べています。

転職で道を変えるなら、今の経験でどの行き先の求人があるかを先に知っておくと判断の材料になります。社内のキャリアパスと見比べるための相談先として、レバテック株式会社が運営するITエンジニア向けの転職エージェント、レバテックキャリアがあります。公式サイトによると、転職をまだ検討中の段階でも相談でき、最初のカウンセリング(1〜1.5時間、電話・オンライン可)で希望を伝えるところから始まります。応募の段階では書類の添削や企業ごとの面接対策を、内定後は年収の交渉や入社日の調整をサポートしてもらえます(2026年10月9日に公式サイトで確認)。

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エージェントの比べ方は、SIerの転職エージェントの選び方で詳しく書いています。

独立して案件で経験を選ぶ

独立は、会社のキャリアパスの外で案件を選ぶことで経験を積む道です。会社員なら会社が仕事を割り当てますが、フリーランスは自分が契約する案件を選べます。

僕は2016年に月額50万円の案件から始めました。その後も、案件を選ぶ場面がありました。2025年4月に現場の1つが切り替わったときは、エージェントから5〜6件の案件の提案があり、その中から2社の面談を受けて両方から合格をもらいました。

ただし案件を選べるといっても、経験の無い工程をいきなり任せてもらえるとは限りません。業務委託の面談では、これまでの経験が現場に合っているかがまず見られます。独立は、社内で積んだ経験を元手にして次の経験を選ぶ道だと考えておくと実態に近くなります。

独立の手順や単価の目安はSIerからフリーランスになるにはにまとめました。転職と独立のどちらが近いかは、SIerキャリア診断(約2分)でも確かめられます。

僕が上流工程の案件を選んだ理由

僕が独立した後に上流工程の案件を選んだのは、上流工程やリーダーの経験をしたかったからです。

その理由で選んだのが、2024年に入った官公庁の案件です。Microsoft Power Platformを使い、申請アプリなどを作りました。そして2025年4月から、その案件と入れ替わる形で情シスの立場の現場に移りました。ここでは要件定義・ベンダーコントロール・受入テスト〜リリースを受け持っています。

発注側に立ってみると、キャリアの初めをベンダー側で過ごしたことが役に立っています。作る側と頼む側、両方の目線で物事を見られるからです。いつもすごく怒っているユーザーとやりとりしたこともあったので、受注側でも発注側でも感情的にならずに仕事をしようと思っています。

会社員なら異動や昇格を通じて広げていく経験を、案件の選び方で取りにいけるのは独立という道の特徴の1つです。その代わりに税金や社会保険の手続きは自分でやり、案件が途切れたときの収入の波も自分で引き受けます。税金や社会保険でどうなるかは家族構成や収入で一人ひとり違うので、独立を考えるときは税理士や役所の窓口などの専門家に自分の場合を確かめてください。

キャリアパスを決めるときのポイント

SIerのキャリアパスを決めるときのポイントは3つです。1つ目は、5年後にやっていたい仕事から逆算すること。2つ目は、それが社内で叶うかを先に確かめること。3つ目は、業界の将来性も見ておくことです。

5年後にやっていたい仕事から逆算する

最初に考えたいのは、役職の名前ではなく5年後に毎日やっていたい仕事の中身です。たとえば「PMになりたい」を「プロジェクトを率いていたい」に言い換えます。「スペシャリストになりたい」なら「技術を深めて作り続けていたい」です。こう言い換えると、社内と社外の両方で道が見えてきます。

やりたい仕事から逆算して道を選ぶ。プロジェクトを率いるなら、社内はプロジェクトマネージャー、社外は大手・元請けの開発会社。システムの形を決めるなら、社内はITアーキテクト、社外はITコンサル・大手・元請けの開発会社。技術を深めて作り続けるなら、社内は技術のスペシャリスト、社外はWeb系・自社開発か独立(フリーランス)。組織と人を動かすなら、社内は組織の管理職、社外は転職先で管理職を目指す。発注側に回るなら、社内には無いことが多く、社外は事業会社の社内SE
やりたい仕事から逆算して道を選ぶ
5年後にやっていたい仕事社内で目指す道社外で近い道
プロジェクトを率いるプロジェクトマネージャー大手・元請けのSIer
システムの形を決めるITアーキテクトITコンサル、大手・元請けのSIer
技術を深めて作り続ける技術のスペシャリストWeb系・自社開発、独立(フリーランス)
組織と人を動かす組織の管理職転職先で管理職を目指す
発注側に回る社内には無いことが多い事業会社の社内SE

やっていたい仕事が2つ以上あるときは、毎日の時間を一番使いたいほうを軸にすると決めやすくなります。

社内で叶うか先に確かめる

やっていたい仕事が決まったら、それが今の会社で叶うかを社外の道より先に確かめます。社内で叶うなら、積み上げた信頼と業務知識をそのまま使えるからです。

確かめるときは、次のような点を見るのが一般的です。

  • その役割に就いている先輩が社内にいるか
  • 専門職の等級など、管理職以外で上がっていく制度があるか
  • 異動や担当替えの希望を出す仕組みがあるか
  • 会社が上流工程を受け持つ案件をどれくらい持っているか

5年後・10年後の先輩の姿は、一番分かりやすい手がかりです。その姿が自分の理想に近いなら、社内のキャリアパスを進む意味は十分にあります。遠いなら、社外の道を並べて比べ始めるタイミングです。

社内で叶わないと分かっても、すぐに辞める必要はありません。今の会社で積める経験を積んでから動くほうが、社外で選べる道が増えることもあります。

将来性も見ておく

キャリアパスを選ぶときは、SIerという業界の将来性も合わせて見ておきます。クラウドやローコードのツールとAIの広がりで、SIerに求められる役割は変わってきていると言われます。

ローコードのツールについては、官公庁の案件でPower Platformを使ったときの実感があります。画面は簡単に作れる一方で、できるのはシンプルな機能まででした。凝った画面が欲しいなら、スクラッチで開発しないと難しいと感じています。

AIも同じで、僕は仕事がまったく無くなるのではなく、人間が受け持つ範囲が変わるのだと受け止めています。ただし、何も追いかけずにいればいずれ取り残されるはずです。少しずつでもAIに触っておくことが、どの道に進むにしても大事だと考えています。業界の先行きと生き残る人の条件は、SIerの将来性の記事で整理しています。

よくある質問

最後に、SIerのキャリアパスでよく出る疑問に答えます。

PMにならないとSIerでのキャリアは行き詰まりますか

PMにならなくても、SIerでのキャリアが行き詰まるとは限りません。ITアーキテクトやスペシャリストの道があり、社外に出る道もあります。

気をつけたいのは、会社の等級の制度です。専門職の等級が無い会社では、PMや管理職に進まないと給与が上がりにくいことがあります。その場合は社内の制度が変わるのを待つか、専門で評価される会社や働き方を探すかを考えることになります。

キャリアパスに資格は必要ですか

キャリアパスを進むうえで、資格は必須ではないのが一般的です。ただPMやITアーキテクトを目指すなら、IPAのプロジェクトマネージャ試験やシステムアーキテクト試験が役割を知る手がかりになります。昇格の条件や手当に資格を入れている会社もあります。

僕は基本情報技術者試験と応用情報技術者試験を受けたことがありますが、どちらも不合格でした。資格を持っていないことで、仕事に支障が出た場面はこれまでありません。ただ、資格は要らないと言いたいわけではなく、取れるなら取っておいたほうがいいと考えています。資格が役立つ場面と目的別の選び方はエンジニアに資格はいらない?にまとめています。

社外に出るなら何年目がいいですか

社外に出る時期に、決まった正解はありません。転職なら年代ごとに見られるものが変わり、独立なら一人称で仕事を進められる実務経験が前提になります。

僕は2009年に入社し、2016年に独立しました。そのとき合格した面談で伝えたのも、何年目かではなく、.NETで積んだ経験と一人称で進められることでした。何年目かより、社内で積んだ経験を言葉にして説明できるかどうかのほうが判断の材料になります。

まとめ:SIerのキャリアパスは「やりたい仕事」と「社内で叶うか」で選ぶ

SIerのキャリアパスは、社内ならPM・ITアーキテクト・技術のスペシャリスト・組織の管理職の4つです。社外に出るなら、転職と独立の2つがあります。

  • 社内の道:PG・SEからリーダーを経て、10年目前後から4つに分かれる
  • 年次の悩み:1〜3年目は下流工程、4〜10年目はリーダーか専門か、10年目以降は管理職コースに乗るか
  • どの道でも効くスキル:業務知識・上流工程の経験・調整と説明の力
  • 社外の道:転職は会社を、独立は案件を選んで経験を取りにいく

選ぶときは5年後にやっていたい仕事から逆算し、それが社内で叶うかを先に確かめます。叶うなら社内を進み、叶わないなら社外の道を並べて比べてください。

僕は転職をせずに独立し、独立した後に案件の選び方で上流工程の経験を取りにいきました。社内の道と社外の道は、どちらか一方を選んだら終わりではありません。社内で積んだ経験が、外に出てからの選択肢を広げます。

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この記事を書いた人

サカイ

フリーランスエンジニア

2009年に新卒でSIerに入社し、2016年にフリーランスエンジニアとして独立。.NET中心の業務系システム、金融系の案件を2016年から継続。現場では面談する側にも入っている。

プロフィールを詳しく見る

  1. SIerの転職エージェントの選び方|行き先別の比較と面談する側から見たコツSIerからの転職に使う転職エージェントの選び方を、社内SE・ITコンサル/金融・IT業界全般の行き先別に整理します。SIerの経験を活かせるエージェントの見分け方と、業務委託の面談で面談する側にも入っているサカイから見た使い方のコツをまとめます。
  2. SIerはやめとけと言われる理由|2009年から2016年まで在籍した僕の答え「SIerはやめとけ」と言われる理由を、2009年から2016年までSIerに在籍したサカイが検証します。在籍中に感じていたこと、向いている人・向いていない人、やめとけに当てはまらないSIerの見分け方をまとめます。
  3. SIerを辞めたいときの判断基準|転職せず2016年に独立した僕の場合SIerを辞めたいときの判断基準を、転職せずに2016年に独立したサカイが整理します。辞めたくなるよくある理由、辞めた後の行き先、辞めると決めてからの進め方をまとめます。
  4. SIerから社内SEへ転職する前に|発注側に回った僕が見た評価される経験SIerから社内SEへ転職する前に知っておきたいことを、発注側の立場で働くサカイが整理します。社内SEで評価される経験、SIerとの違い、転職が難しいと言われる理由、転職のための準備をまとめます。
  5. 社内SEはやめとけ?情シスの立場で働く僕が見た大変さと向いている人「社内SEはやめとけ」と言われる理由を、情シスの立場で働くサカイが整理します。発注側の仕事の重さ、会社によって違う役割、向いている人・向いていない人、やめとけにならない職場の選び方をまとめます。
  6. エンジニア35歳定年説は本当?35歳を超えた僕が現場で感じた変化と答えエンジニア35歳定年説が今も当てはまるかを、35歳を超えて現場で働くサカイが検証します。定年説が生まれた背景、35歳を超えて感じた変化、35歳を超えても求められるスキルをまとめます。