SIerはやめとけと言われる理由|2009年から2016年まで在籍した僕の答え
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目次 6項目
「SIerはやめとけ」と言われる理由の多くは、SIerという業界そのものより、会社と自分の立場で決まります。長時間労働も客先常駐も、すべてのSIerに当てはまるわけではありません。
僕は2009年に新卒でSIerに入り、2016年まで在籍しました。転職はしておらず、2016年に会社を辞めてフリーランスのエンジニアとして独立しています。いまは2016年から続けている金融系の現場で働きながら、もう1つの現場では発注側(情シス)の立場で要件定義からベンダーコントロール、受入テストまでを担当しています。
この記事では、よく言われる「やめとけ」の理由を並べたうえで、在籍していた当事者として感じていたことを書きます。そのうえで、向いている人・向いていない人と、やめとけに当てはまらないSIerの見分け方をまとめます。
SIerから移る先の全体像は、SIerからの転職先と進め方にまとめています。
SIerはやめとけと言われる6つの理由
SIerはやめとけと言われる理由は、大きく分けて6つあります。長時間労働・客先常駐・古い技術・調整ばかり・多重下請け・年収の上がりにくさです。
どれも業界の構造から生まれやすいものですが、会社によって濃い薄いがあります。ここでは一般的に言われている中身を整理し、在籍していた僕の立場から補足します。
納期に追われて長時間労働になりやすい
SIerが長時間労働になりやすいと言われるのは、システムの納期が契約で決まっているからです。仕様変更やトラブルが起きても、納期は動かないことが多い。そのしわ寄せが、残業や休日出勤として現場に出ます。
特にリリース直前やテストの終盤は、忙しさが集中しやすい時期です。プロジェクトの見積もりが甘いと、最初から無理のある計画になっていることもあります。
一方で、僕自身は残業をほとんどしていませんでした。忙しさはプロジェクトとチームによってかなり違います。僕が在籍中にどう働いていたかは、次の章で書きます。
客先常駐で職場が変わり続ける
客先常駐とは、発注元の企業のオフィスに常駐して働く形のことです。プロジェクトが変わるたびに職場も変わるので、帰属意識を持ちにくい。自社の同僚と顔を合わせる機会が少ない、と言われることもあります。
常駐の多さは、会社によってかなり差があります。僕の場合は自社で働くことが多く、常駐していたのは合計で半年〜1年くらいでした。「SIer=ずっと客先常駐」というわけではありません。
古い技術が多く、スキルが偏る
SIerが扱うシステムには、長く使われている業務システムの保守や改修が多くあります。そのため最新の技術に触れる機会が少なく、スキルが偏ると言われます。
僕が使ってきた言語は、C#とVB.NETです。割合は半々くらいで、若干VBのほうが多いかもしれません。Windowsフォームアプリ、Webサイト、コンソールアプリなど、業務系システムをたくさん作ってきました。
C#やVB.NETは、いわゆる最新の技術ではありません。それでも2016年に独立したときの面談では、.NET系の経験が7年ほどあることと、基本的に一人称で仕事を進められることを伝えて合格しています。新しい技術かどうかだけで、経験の価値が決まるわけではありません。
技術より調整の仕事が増える
SIerでは、年次が上がるほど調整の仕事が増えていくのが一般的です。顧客との打ち合わせ、協力会社への作業の割り振り、進捗の管理など。自分でコードを書く時間は減っていきます。
コードを書き続けたい人にとっては、ここが「やめとけ」の理由になります。ただ、調整は軽い仕事ではありません。いま僕は発注側の立場で働いていて、最初は発注側はただ指示するだけで楽だと思っていました。実際には、思っていたより大変です。
発注側はユーザーとベンダーの間に立つ、中間管理職のようなポジションです。ユーザーの要望をただ横流しするのではなく、ベンダーが仕事をしやすいように翻訳するのが大切だと思っています。SIerで身につく調整の経験は、発注側に回っても生かせる経験です。
多重下請けの下の方ほど給料が低い
IT業界には、元請けのSIerから二次請け、三次請けへと仕事が流れていく多重下請けの構造があります。間に入る会社が多いほど、それぞれの会社の取り分が差し引かれます。下の方の会社ほど、同じ仕事でも社員の給料が低くなりやすい構造です。
下請けになるほど任される工程も限られ、設計を上から渡されて作るだけ、ということも起こります。
これはフリーランスになった今でも同じです。フリーランスの案件も、発注元とエンジニアの間に複数の会社が入ることがあります。僕は、商流が深いと間でムダにマージンがかかっていると思ってしまうので、できれば浅いに越したことはないと考えています。
年収が上がりにくい
SIerの年収が上がりにくいと言われるのは、給与が年功序列の等級で決まる会社が多いとされるからです。成果を出しても、翌年の給料にすぐ反映されるとは限りません。下請けの会社なら、そもそも会社の取り分が少ないという事情も重なります。相場と年収に差が出る要因はSIerの年収は低い?にまとめています。
僕の場合、2015年頃の年収は400万円くらいでした。在籍中の働き方と合わせて、次の章で詳しく書きます。

SIerにいた僕が感じていたこと
SIerに在籍していた僕が感じていたのは、長時間労働のつらさではありませんでした。残業はほぼしておらず、年収は400万円くらい。それでも2016年に辞めています。
「やめとけ」の6つの理由がそのまま当てはまった人だけが辞めるわけではない、という一つの例として読んでください。
残業はほぼなく、年収は400万円くらいだった
2015年頃の年収は400万円くらいでした。残業をほぼしていなかったので、手取りは月20万円にいっていなかったと思います。
残業が少なかったのは、仕事終わりや土日の時間を大切にしたかったからです。他の人より早く帰っていました。
例外的に忙しい時期もありました。そういうときも、なんとか土日の対応をしないで済むように調整していました。上司に「〇〇さんは残って仕事してるのに」と言われながら帰っていたこともあります。
長時間労働は「やめとけ」の代表的な理由です。ただ、残業が少ない働き方をしていても、SIerを辞める人はいます。僕はその一人でした。
評価面談の中身
SIerの評価は、自己評価のシートと評価面談で決まる会社が多いです。僕のいた会社では、面談の2週間ほど前に自己評価シートを書いていました(記憶は定かではありませんが、そのくらいです)。面談そのものは、だいたい30分でした。
シートには、若手2人ほどのレビューを引き受けていたことを書いたことがあります。担当していたサブシステムの障害件数が下がったことを書いたこともありました。
評価面談では、1年分の仕事をシートと短い面談で伝えることになります。日ごろの仕事の中身を、自分で言葉にしておかないと伝わりにくい仕組みです。担当した仕事や改善した数字をメモに残しておくことは、転職の職務経歴書を書くときにもそのまま役に立ちます。書き方はエンジニアの職務経歴書の書き方で整理しています。
将来が見えてしまう感覚
将来への漠然とした不安は、このまま進んだ先の自分の将来が上司を通して分かってしまうことから来るのだと、僕は感じています。
この感覚と、辞めるかどうかの判断基準については、SIerを辞めたいときの判断基準で詳しく書きました。
SIerに向いている人・向いていない人
SIerに向いているかどうかは、「業務知識」「調整」「安定」に価値を感じるかで分かれます。「やめとけ」と言われる理由は、裏返すとSIerで得られるものでもあります。
向いている人
SIerに向いているのは、次のような人です。
- 業務知識を深めたい人
- 調整や橋渡しが苦にならない人
- 安定した環境で長く働きたい人
SIerでは、金融・製造・公共など、特定の業界の業務システムに長く関われます。業務知識は、次の仕事でも評価されやすい経験です。僕は会社員時代に、生保や損保といった金融系の案件に携わっていました。独立して最初に入った現場は信託銀行の案件で、同じ金融という領域で親和性があったのではないかと考えています。
大手のSIerや元請けの会社であれば、福利厚生や研修が整っていることも多いです。いまの環境に大きな不満がなく、年収や働き方に納得しているなら、SIerにとどまるのも十分に一つの選択肢です。
向いていない人
SIerに向いていない可能性があるのは、次のような人です。
- 最新の技術を追い続けたい人
- 自分でコードを書き続けたい人
- 成果を収入に早く反映したい人
最新の技術で自社サービスを作りたいなら、Web系の事業会社のほうが近い環境かもしれません。コードを書き続けたい人は、年次とともに調整の仕事が増えるSIerでは、やりたいことから離れていくと感じやすいでしょう。
成果を早く収入に反映したい人は、年功序列の等級に物足りなさを感じやすいはずです。僕が独立を選んだのも、とにかく収入を上げたかったからでした。

やめとけに当てはまらないSIerの見分け方
やめとけに当てはまらないSIerかどうかは、「商流の位置」「上流工程に関われるか」「キャリアパス」「社員の年齢構成」の4つで見分けられます。いまの会社を見直すときにも、転職先を選ぶときにも使えるチェックです。

元請けか下請けか
最初に確かめたいのは、その会社が元請けか下請けかです。元請けに近いほど、任される工程が広く、給料の水準も高くなりやすいとされています。
確かめる方法としては、次のようなものが一般的です。
| 確かめること | 見る場所 |
|---|---|
| 主な取引先がエンドユーザーか、他のSIerか | 会社のWebサイトの取引先一覧、IR資料 |
| 元請け(プライム)案件の割合 | 求人票、面接での質問 |
| 親会社やグループ会社からの仕事の割合 | 会社概要、IR資料 |
取引先の一覧に大手SIerの名前ばかりが並んでいる場合は、二次請け以下の仕事が中心の可能性があります。面接で「元請けの案件はどのくらいありますか」と聞くのも一つの方法です。
上流工程に関われるか
次に見たいのは、要件定義や設計といった上流工程に関われるかです。上流工程の経験は、社内でのキャリアにも、転職や独立にも効いてきます。
下請けの会社では、上流工程は元請けが持っていて、プログラミングとテストだけを任されることもあります。年次が上がったときに、どの工程を担当できるのか。面接や社内の先輩の話で確かめておくと安心です。
僕が2025年に発注側の現場に入ったのも、上流工程の経験も増やしたいと考えたからでした。いまはその現場で、要件定義からベンダーコントロール、受入テストまでを担当しています。
キャリアパスが見えているか
3つ目は、その会社でのキャリアパスが見えているかです。プロジェクトマネージャーを目指すのか、特定の技術や業務の専門家を目指すのか。会社として道が用意されているかを見ます。
分かりやすい手がかりは、5年後・10年後の先輩です。社内の先輩たちの働き方や役職が、自分のなりたい姿に近いかどうか。近いなら、その会社で進んでいく意味は十分にあります。遠いなら、別の道も考え始めるタイミングです。
SIerの中でのキャリアの選び方は、SIerのキャリアパスの記事で整理しています。
社員の年齢構成
4つ目は、社員の年齢構成です。若手と中堅がバランスよくいる会社は、人が定着していて、仕事の引き継ぎも回っていることが多いとされています。
逆に、中堅がごっそり抜けている会社は、辞める人が多い理由があるのかもしれません。若手に負担が集中しやすい構造にもなります。年齢構成は会社のWebサイトや採用ページ、面接で聞けることが多いので、確かめておくと判断の材料になります。
辞めると決めたら考えること
SIerを辞めると決めたら、次の3つを考えておくと動きやすくなります。業界の将来性、転職先の比較、独立という選択肢です。
辞めること自体が正解とは限りません。いまの会社に残る場合と比べて、何が良くなるのかを言葉にできるかが大事です。
SIerの将来性を確かめる
辞めるかどうかを考える前に、SIerという業界の将来性を確かめておくと判断しやすくなります。業務システムの開発や保守は、企業が事業を続けるかぎりなくならない仕事です。一方で、クラウドサービスの普及などで、SIerに求められる役割は変わってきているとも言われます。
業界の先行きと、その中で生き残る人の条件はSIerの将来性の記事で詳しく書いています。
転職先を並べて比べる
転職を考えるなら、転職先の候補を並べて比べるのが第一歩です。SIerからの転職先としては、社内SE、ITコンサル、Web系の事業会社、より上流の大手SIerなどがよく挙がります。
僕は転職をしていないので、転職活動の体験は書けません。書けるのは、業務委託のエンジニアを受け入れる面談で、面談する側に入っている立場からの話です。正社員の採用面接には関わったことがないので、その前提で読んでください。
面談する側に回ると、直近の経歴が数か月のものばかり続いている人には不安を感じます。質問と答えがかみ合っていない人は、一緒に仕事がしにくそうだとも感じます。逆に、受け答えがしっかりしている人は安心して任せられそうです。
行き先ごとの違いはSIerからの転職先で比較しています。発注側に回る選択肢については、SIerから社内SEへの転職も参考にしてください。
転職エージェントの選び方はSIerの転職エージェントの選び方にまとめています。
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転職先を比べるなら、ITエンジニア向けの転職エージェントに相談するのも一つの方法です。レバテックキャリアは、ITエンジニアを対象にした転職エージェントで、登録は無料です。求人の紹介に加えて、書類の添削や企業ごとの面接対策もサポートしてもらえます。
僕自身は転職をしていないので、レバテックキャリアを使ったことはありません。また、エンジニアとしての経験がない方や50代以上の方は、紹介できる求人が無く、サポートを受けられないことがあります。
サービスの内容は2026年9月30日に公式サイトで確認したものです。最新の情報は公式サイトで確かめてください。
独立という選択肢
SIerを辞める道は、転職だけではありません。フリーランスとして独立する選択肢もあります。
僕は転職を考えませんでした。とにかく収入を上げたかったので、フリーランスが手っ取り早いという、けっこう安易な理由で独立を決めています。独立して最初の案件は、月額50万円でした。
ただ、独立はすべての人に向いた道ではありません。税や保険の手続きも自分でやることになります。僕も辞めてから、会社員のときは会社がそのあたりをやってくれていたのだと実感しました。税や保険は人によって事情が違うので、分からないところは税理士や役所の窓口などの専門家に確かめてください。転職と独立のどちらが合うかは、両方を並べて比べてから決めると判断しやすくなります。
SIerからフリーランスになる手順と、独立して何が変わるかは、SIerからフリーランスへの独立で詳しく書いています。
まとめ:「やめとけ」は会社と立場で決まる
SIerはやめとけと言われる理由は、長時間労働・客先常駐・古い技術・調整ばかり・多重下請け・年収の上がりにくさの6つです。ただ、そのどれが当てはまるかは、会社と自分の立場で大きく変わります。
僕は2009年から2016年まで在籍し、残業はほぼなく、年収は400万円くらいでした。「やめとけ」の典型とは違う立場でしたが、それでも辞めて独立しています。逆に、6つの理由がそれほど当てはまらず、いまの環境に納得しているなら、SIerにとどまるのも一つの選択肢です。
迷っているなら、まずは4つのチェック(商流・上流工程・キャリアパス・年齢構成)でいまの会社を見直してみてください。そのうえで辞めると決めたなら、転職先と独立を並べて比べると、自分に合う道が見えやすくなります。
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